竹内薫『宇宙フラクタル構造の謎』(徳間書店,1994)
とても分かりやすい宇宙論の本です。
相対性理論や素粒子論といった難解な物理学を、一般向けに読みやすい文章で説明してくれています。
難解な理論を分かりやすく説明することは、本質を理解している専門家にしかできません。
特におすすめしたい貴重な一冊です。
宇宙は何次元?
物理学者によると、宇宙は10次元でできているそうです。
そのうちの9次元は空間の次元のことで、これに「時間」というもう1つの次元が加わります。
私たちが普段感じている次元は、3次元空間+時間、つまり4次元ですよね。
残りの6次元は一体どこに行ったのでしょうか。
実は、ものすごく小さく折りたたまれていて、どんなにがんばっても点にしか見えないのだそうです。
物質の最小単位を素粒子と言いますが、素粒子は点のようなものではなく、「ひも」でできていて、見えない6次元の中で「ひも」としてふるまっています。
そして、その挙動が素粒子の性質を決めているのです。
フラクタルとカオス
さて、本書のタイトルにもなっているフラクタル。
スケールを変えても同じパターンが現れる性質をフラクタルと言います。
太陽系軌道と原子軌道の関係、木の枝と葉脈の関係などがフラクタルの好例です。
フラクタルには規則性がありますが、その規則性はカオスに近いものです。
カオスとは、初期条件が少し変わっただけで結果が大きく異なるような規則性のことを言い、例えば気象のパターンがカオスです。
カオスになっている現象は予測が非常に難しいため、天気予報はしばしば外れます。
ですが、決してランダムではありません。
宇宙にはカオス的なものがとても多いんですね。
しかし、スケールを変えてみると、不思議と同じパターンが見えてくる。
それが、「宇宙フラクタル構造の謎」です。
とても感動的です。
ぜひおすすめしたい一冊です。