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東京大学安田講堂

昨今の大学入試は受験方式が多様化されてきて、AO入試や推薦入試といった、学科試験を行わない受験方式が増えてきました。

これらの受験方式では、学科試験では測れない多様な生徒の才能・経験を評価することを目的としています。

 

AO入試や推薦入試の一次試験は書類審査で、その中に志望理由書や活動報告書、学校の成績表などが含まれます。

また、二次試験では面接や小論文を行う大学が多いです。

書類審査で重要な志望理由書

AO入試や推薦入試の書類審査で最も重要視されるのが、志望理由書です。

 

志望理由書は、大学の審査員と受験生の「生の声」が初めて出会う機会、いわばファーストコンタクトです。

大学側はこの書類から、あなたがどんな受験生なのか、多くの情報を得たいのです。

そして、「これは面白い!会ってみたい!」という受験生と面接したいと思っています。

良い志望理由書とは?

志望理由書の重要性はわかってもらえると思います。

では、どうしたら良い志望理由書が書けるのでしょうか?

そもそも良い志望理由書とはどんなものなのでしょうか?

 

進学・進路指導をしながら大学合格者の志望理由書を多数読んできたのですが、私が考える良い志望理由書とは、次のようなものです。

  1. 具体的で、
  2. 自分の足で集めた情報や経験が入っていて、
  3. 「ここまでやったけどこれ以上は大学でしか学べない」というところまで問題意識を掘り下げている、

という志望理由書です。

 

これを一言で言うと、「真剣に取り組んだ跡が見られる志望理由書」ということができます。

 

口先だけではどうにもなりません。

どこまで真剣なのか、皆さんの本気度を見せなければなりません。

そこには迫力があり、そういう志望理由書は大学の審査員を必ず振り向かせます。

実際に志望理由書を書いてみよう

志望理由書に書く内容

でも、精神論ではどうにもなりませんよね。

それでは、実際に志望理由書を書く準備を進めましょう。

 

志望理由書でも小論文でも、文章を書くときは、初めに構成を考えることが大切です。

全体の構成を決めてから書くことで、軸がぶれずにわかりやすい文章が書けます。

 

志望理由書に書く内容は、だいたい以下の3つです。

  1. どんな社会貢献をしたいのか。
  2. その夢のために、これまで何をしてきたのか(特に高校での活動)。
  3. その夢のために、大学で何をしたいのか。

 

これらの内容を限られた文字数でわかりやすく表現しなければなりません。

志望理由書の文字数は大学によって異なりますが、800字や1000字の大学が多いです。

中には400字という短いものや、2000字という長めのものもあります。

 

上記の3項目について、まずは文字数を気にせずに書き出してみましょう。

そして、全体の構成を考えながら、1つのストーリーに仕上げていきます。

読み手に伝えるのが目的ですから、流れがスムーズで読みやすい文章、頭にスッと入ってくる文章に、最終的には仕上げたいものです。

どんな社会貢献をしたいのか

最初は、「どんな社会貢献をしたいのか」です。

これは、簡単に言えば将来の夢ですが、「どんな職業に就きたいか」とか「どんな資格を取りたいか」では不十分です。

 

職業や資格の先にある、人生全体の目的です。

このように生きたい、このように人の役に立ちたい、このように生きて、社会あるいは人類全体を前進させたい、こういった大上段の目的です。

 

もしかしたら、「社会貢献」という言葉にピンと来ないかもしれませんね。

社会貢献とは、「社会の役に立つこと」ですが、直接的な「人助け」だけを意味するのではありません。

 

人助けと言えば、医療や福祉が思い浮かびますよね。

しかし、別に医療や福祉でなくとも、経済活動のすべてが何らかの社会貢献をしているのです。

 

どういうことかと言いますと、皆さんはどのような仕事に就こうとも、将来お金を稼ぐことになります。

政治家、美容師、作家、営業マン、何でもいいです。

お金を稼ぐということは、ある労働の対価として、誰かがお金を支払ってくれるということです。

 

なぜお金を支払うかといえば、その人の役に立つことだからです。

ですので、すべての仕事は人の役に立っています。

ひいては、社会全体の益となっています。

 

自分はどんな「社会貢献」をしようとしているのか、じっくり考えてみてください。

 

なお、1つ補足です。

専業主婦ようにお金を稼がない仕事もありますが、その場合は誰の役に立っているのか明らかですよね。

貢献感は多様な形で現れるのです。

 

どういう社会貢献がしたいのか、1つの文章で書き表してみましょう。

何々になって、何々をしたい。

何々の問題を解決したい。

何々を作って多くの人に感動を与えたい。

 

ここでは、具体的な例は挙げません。

皆さんの想像力を最大限に発揮して書いてみてください。

 

それができたら、なぜそれをやりたいと思うのか、理由を説明します。

そう考えるようになったきっかけは何でしょうか。

どこに問題意識を持っているのでしょうか。

できるだけ具体的に書くように心がけます。

その夢のために、これまで何をしてきたのか

次に、「その夢のために、これまで何をしてきたのか」を書きます。

 

夢を抱くきっかけについては、1つ目の項目で書きましたね。

きっかけとなる体験は、小学校や中学校のときかもしれません。

その体験がきっかけとなって、あなたは何となくそのことに関心を持ち続けていました。

 

何となく、でいいんです。

そんなに真剣に将来の夢を考えている中学生はいないでしょう。

ですが、高校生の今になって、ふと振り返ってみる。

 

「やっぱり私はこれに関心がある。」

「これをもっと突き詰めたい。」

 

ようやく高校生の今になって、自分のこれからの人生を真剣に考え始めるんです。

 

そして、「人生を真剣に考え始めてからあなたが何に取り組んだか」が重要になります。

志望理由書に、特に高校での活動について書くのはそのためです。

 

きっかけは確かに小学校や中学校かもしれません。

でも、それをそのまま置いておいて、高校では何もせずに大学に入ってからようやく始めるのでしょうか。

高校生の時に始めなくてはなりません

 

高校生にはそれができる力があります。

きっかけとなった体験を深めましょう。

問題意識を掘り下げましょう。

気になることは自分の足で調べましょう。

行動しましょう。

 

できるところまで精一杯やって、あとは大学でやればいいのです。

 

自主的に学んだり、探求したり、制作したりする力があるかどうか、大学側はそこを見ます。

あなたが口先だけではなく、真剣そのものであることは、こういった高校での活動に表れるのです。

 

ここで注意したいことは、高校での活動として学校行事を挙げるのはあまり望ましくありません。

生徒会で役員をした、修学旅行で海外ボランティアをした、弁論大会で優勝した、などです。

学校行事というのは、基本的に全員で同じことをやるようにプログラムされたものです(役員など、立場上の違いはあるにせよ)。

 

つまり、その体験は受け身で起こった体験です。

あなたが自分で行動して、企画して、人と協力して始めたことではないのです。

 

学校行事は、夢を抱くきっかけには良いでしょう。

しかし、その先に自分独自の行動が必要です。

海外ボランティアで貴重な体験をしたなら、それを自分なりに掘り下げるのです。

 

インターネットや文献で調べたり、現地の人とメールでやり取りをしたり、関連するボランティアに取り組んだり、いろいろなことができるはずです。

その夢のために、大学で何をしたいのか

いよいよ最後です。

「その夢のために、大学で何をしたいのか。」

 

高校での活動がしっかり書けていれば、自然とそこから、高い次元の問題意識が湧いてくるはずです。

「高校でここまでやりました。ここから先は大学でしかできません。」

そう言う内容を書きたいものです。

 

大学の特徴も、ここで書きましょう。

大学について書くときは、パンフレットやホームページの引用だけではいけません(多少は必要ですが)。

オープンキャンパスで体験したことが貴重な情報になるでしょう。

自分の目で見て、体験し、大学関係者と話し、模擬授業を受けて、それらをもとに自分の夢と合致しているかどうかを書きます。

 

ただし、大学の特徴についてあまり多く書く必要はありません。

大学が望むような受験生像をアピールする必要はないのです。

 

そもそもそのような受験生像は存在しませんし、受験生が大学に合わせて入学するなら本末転倒です。

大学というのは、1つの通過点であるからです。

いろんな夢を持った大学生が入学し、学んで、それぞれの夢に向かって飛び立っていく。

それが大学です。

 

受験生が大学の特色に合わせる必要は全くありません

受験生の主体的なビジョンがあり、大学がそれに合っている、それだけで十分です。

1つのストーリーに仕上げる

ここまでお疲れさまでした。

材料がそろったので、あとは構成を考えるだけです。

書く順番に特に決まりはないですが、ある程度のパターンはあるので紹介しますね。

  • 将来の夢:冒頭に1センテンスで書く
  • 夢を抱くようになったきっかけ:全体の1/4〜1/3程度
  • 夢を掘り下げた高校での活動:全体の1/3〜1/2程度
  • 大学でやりたいこと:全体の1/4〜1/3程度
  • 結び「よって〜を志望する」:1センテンスで書く

 

ほぼ項目順ですが、この順番でなくてももちろん大丈夫です。

1つのストーリーとなるように、流れの良い文章構成を考えてみてください。

おわりに

ここまで良い志望理由書の書き方を順番に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

冒頭でもお話しした通り、私は進学・進路指導の中で大学合格者のいろんな志望理由書を読んできたのですが、良い志望理由書には、生徒の主体的な取り組みがしっかりと書かれていました。

口先だけでは何とでも言えるのですが、行動が伴っているかどうかでその生徒の真剣度が分かります。

 

良い志望理由書を書くには、何らかの形で学校の外に出ていくことです。

 

学校は鳥かごのようなものです。

自ら外の世界に出て、外の世界の人に出会って、自分の問題意識を深めていく、そんな生徒は自然とすばらしい志望理由書が書けるでしょう。

合格した高校生は、実際にそのような行動をしていました。

 

最後に、字の綺麗さについて。

綺麗な字の方が合格しやすいというわけではありません。

しかし、全く無関係でもありません。

 

あまりに汚ければ、読む気がしないからです。

雑に書かれた志望理由書を見ると、「この生徒は本当に読んでもらいたくて書いているのだろうか」と疑いたくなります。

 

上手か下手かではなく、読んでほしいという気持ちがあるかどうか。

丁寧に、心を込めて準備したものかどうか。

そこが重要です。

あなたの真剣度は、書類の準備の仕方にも表れるものです。

 

皆さんの健闘を心からお祈りします。

 

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