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理科の教科書って、中学でも高校でも、難しい言葉がたくさん出てきますよね。

私の勤務校では日本在住の外国人生徒も多く学んでいるので、難しい日本語がたくさん出てくる理科の教科書を理解するのはけっこうたいへんです。

漢字が多いから余計に難しく感じますし……。

 

中でも、特に地学と生物の教科書が手ごわいです。

物理や化学は、数式や化学式で内容が理解できるので、言葉の壁はそれほど高くないように感じます。

やさしく、わかりやすく理科の専門用語を学んでもらうにはどうすればいいのでしょうか?

用語説明の3つのコツ

私は聞き慣れない科学用語を生徒に説明するとき、次の3点を心がけています。

  1. 身近な体験と結びつけること
  2. 図を使ってイメージしやすくすること
  3. できるだけ短くシンプルに説明すること

実際の解説例はこんな感じです。

蒸散とは?(中学校理科/生物分野)

植物が水を必要とすることはよく知られています。

植木鉢の水やりは欠かせません。

 

ですが、植物は自分のからだを維持するのに必要な量の水よりも、もっと多くの水を根から吸い上げています。

それは、土壌中の養分を根から取り込むために、とても多くの水を吸い上げる必要があるからです。

それでは、この多量の水はどうなるのでしょうか。

 

その答えが、「蒸散(じょうさん)」という植物のはたらきです。

植物は体内の水の量をコントロールするために、葉っぱの裏側にある「気孔(きこう)」という穴を使って、余分な水分を放出しています。

水分を放出していると言っても、水蒸気の状態で放出しているので目には見えません。

蒸散ができるからこそ、植物は存分に水を吸い上げられるのです。

図.植物のつくりとはたらきの模式図.(出典:東京書籍『新しい科学1年』)
図.植物のつくりとはたらきの模式図.(出典:東京書籍『新しい科学1年』)

P-S時間とは?(高校地学)

地震によって伝わる振動には、P波S波という2種類の振動があります。

地震が起きた時のことを思い出してみてください。

小刻みな揺れがしばらく続いた後、ドン!という強い揺れが来たという経験があるのではないでしょうか。

最初の小刻みな揺れがP波で、その後の強い揺れがS波です。

 

P波が来てからS波が来るまでの時間は、地震が起きた時に自分で計ることができます。

これを「P-S時間」または「初期微動継続時間(しょきびどうけいぞくじかん)」と呼んでいるのですが、このP-S時間から、実はおおよその震源距離を求めることができます。

 

震源距離は次の式で求められます。これを大森公式(おおもりこうしき)と言います。


D=kT

  • D: 震源距離[km]
  • k: 比例定数[km/s] 日本付近では6~8 km/s
  • T: P-S時間または初期微動継続時間[s]

図1. 震源距離.(出典:数研出版『地学基礎』)
図1. 震源距離.(出典:数研出版『地学基礎』)

 

図2. P-S時間(初期微動継続時間)と震源距離との関係.(出典:数研出版『地学基礎』)
図2. P-S時間(初期微動継続時間)と震源距離との関係.(出典:数研出版『地学基礎』)

教科書を自分のものに

私は基本的に、「教科書の理解を助ける」というスタンスで授業をしています。

教科書を使う利点は何でしょうか。

私は、「科学的事実としての知識を体系的に学べること」だと考えています。

 

実験や視覚教材の重要性も理解していますが、これらはあくまでも、「体系的な学び」という大きな流れの中で適切に位置付けられるべきものです。

スポット的に実験をしたり視覚教材を使って生徒の関心を引いても、なかなか深い学びにつながりません。

 

そして、地学と生物学の場合、大学入試で力を発揮するのも結局のところ教科書と過去問です。

教科書を何度も読み返して、繰り返し学ぶことが受験対策には必要です。

つまり、教科書を使った自主学習です。

そのような自主学習ができるように、授業では教科書をきちんと理解しておくことが大切です。

 

わかる → 覚える → 繰り返す

私は学習の基本をこのように考えています。

授業の役割は「わかる」と「覚える」です。

そして、自主学習で「繰り返す」をやります。

 

繰り返しが、学力の定着につながる最も重要なプロセスです。

教科書を何度も読み返して、ことあるごとに見直して、この「繰り返す」プロセスを続けることが望ましいです。

私が教科書の理解を大切にしているのはこのような理由からです。

 

ここで紹介した科学用語解説のコツが、子どもたちの教科書の理解を助ける授業づくりの一助となれば幸いです。

 

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