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佐藤学『授業を変える 学校が変わる』(小学館,2000年)
佐藤学『授業を変える 学校が変わる』(小学館,2000年)

 

教育学者の佐藤学氏が取りまとめた授業実践の記録です。

おもに小学校での実践を取り上げていますが、いくつか中学校での実践例も含まれます。

 

印象的な言葉をいくつか引用したいと思います。

子どもとじっくり「良い時間を過ごそう」という意識で教室に立つ

 

「しっとりとした教室」には、安心して身をまかせられる人と人との関係が築かれている

 

教室のキャッチボールが苦手な教師は、授業の進行に対する意識以上に、一つひとつのボール(子供が投げるボール)を真正面で受け取ることに専念すべき

 

1回の授業で教えようとする内容(コンテンツ)は明確に準備しておかなければならないものの、準備したコンテンツを終わらせることが大事なのではなく、授業時間に子供たちと意思の疎通ができることが重要である、と本書は言います。

 

そのためには、子供の質問等で話が脱線しても、焦って先に進めることをせず、子供の時間・ペースに合わせて授業を進めるようにする必要があります。

あまり内容を詰め込み過ぎず、たとえ脱線しても要点は押さえられるような授業計画が望ましいと感じました。

また、本書を読んでいて「安心」というキーワードが特に印象的でした。

教室は、安心して学べる(過ごせる)場所でなければなりません。

発言が強要されたり、こまごまと注意されたり、大きな声で叱られたりする教室は、子供が安心して過ごせる教室ではありません。

 

何もしていなくても安心して座っていられる教室、また、教科書を読み、思案し、クラスメートと話し、発言する、などの一連の行動が、大きなストレスなくできる教室にするにはどうすればよいでしょうか。

私自身としては、そこで過ごす子供と教師が呼吸を合わせること、子供たち同士もまた呼吸を合わせられることを目指して、子供と良い時間を過ごすことを大切にしようと思います。

 

その他、「共鳴」や「協同」というキーワードも印象的でした。

また少し引用します。

教師と生徒の共鳴、生徒どうしの共鳴が必要

 

学校は、教師の援助や仲間との協同によって、自分一人では達成できない水準の学びを実現する場所である

 

本書では、「共鳴」の代わりに「オーケストレーション」という言葉もよく使われています。これらのキーワードを用いながら、いわゆるシナジー効果を期待する教室の在り方について語られていました。

 

勉強は独りでするもの、という考え方の生徒もいれば、友達と一緒に勉強することが楽しい生徒もいます。

私自身は前者であったので、独りで黙々と勉強しようとする生徒を見るととても共感でき、彼らを無理に協同的学びに誘導することは望ましくないと思ってしまいます。

しかし一方で、自分も社会に出てからは、人と共に学び合うことがいかに大切であるか、また、自分の成長につながるかを知ることができました。

 

だから、独りで勉強することも、共に学び合うことも、どちらもバランス良くできることが望ましいのだと思います。

 

本書はさらに、協同的学びのより繊細な面に踏み込んで議論しています。

本書で述べられているオーケストレーションとは、「響き合う」というニュアンスであり、そこには「呼吸を合わせて同じ時間を共有する」という学びのスタイルが示されています。

 

まず、教師と生徒が響き合う、とはどういうことでしょうか。

「打てば響く」というような、確かなコミュニケーションの基盤が確立されていること、互いに適切な敬意を払い、相手の話を尊重する雰囲気であること、一方的に教師が生徒に教えるのではなく、教えながら教師自身も学び、共に成長できる時間であること、そして何よりも居心地が良く、楽しい時間であること、などが考えられます。

 

また、生徒どうしが響き合う、とはどういうことでしょうか。

教師と生徒とのやり取りだけでなく、生徒どうしが話し合い、聴き合い、疑問を解決していく過程が授業の中にあること、友達への配慮がありながらも自分の率直な意見が言えて、周りもそれを受けとめてともに思案できる雰囲気があること、などが考えられます。

ただしその際、主題から大きくそれないように、テキストなどを指針にして教師がさりげなく導く配慮は必要となるでしょう。

 

このような協同的学びは、多くの学校で実践されつつあると思います。

私も工夫して継続していきたいと思います。

 

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