この記事をシェアする

学校が成長し、より良い学びの場となるために、教師は成長し続けなくてはなりません。

現場の教師は、教材研究はもとより、学校運営や生徒との関わりにおいて重要な教育学や心理学まで、幅広く勉強する必要があると思います。

 

この記事では、私がこれまで読んできた教育関係の本の中から、特に重要だと感じたものをピックアップしました。

「教師の成長」などと硬い表現になってしまいましたが、現場で直面する様々な問題に、読書から解決の糸口が見つかればいいなと思います。

あるいは、少し教師であることに疲れてしまった時、読書によって励まされ、最初の頃の熱い想いが取り戻せたらいいなと思います。

 

どれも良書ばかりです。

ぜひお読みになり、日々の教育にお役立てください。

現場の教師が読みたい本

教育学関係

「学び合う学び」が深まるとき

石井順治『「学び合う学び」が深まるとき』(世織書房,2012)
石井順治『「学び合う学び」が深まるとき』(世織書房,2012)

長年にわたって小学校教諭を勤めてきた著者による授業研究です。

著者が提案する「学び合う学び」は協働型の授業で、「子どもたち同士の関わりの中でこそ良い学びが生まれる」と言います。

小学校の実践報告が中心ですが、中学・高校、さらには大学での教育にも適用すべき示唆に富んだ内容です。

真のエリートをはぐくむ教育力

石角完爾『真のエリートをはぐくむ教育力』(PHP,2009)
石角完爾『真のエリートをはぐくむ教育力』(PHP,2009)

アメリカのボーディング・スクール(Boarding School;全寮制学校)のリベラル・アーツ教育を紹介した著書です。

いわゆるエリートを養成するための富裕層向けの私立学校で、子どもをハーバード大学のような有名大学に入学させたい親御さんは、子どもが生まれた時からボーディング・スクールの初等部を探し、入学の予約をするそうです。

アメリカで言う「エリート」は、日本人の持つイメージと異なり、新しい価値を創造できる人、社会に貢献できる人のことを言います。

多くのグローバルリーダーを輩出しているボーディング・スクールの教育から、日本の学校が学ぶことは多いと思います。

 

この本の内容はこちらの記事でも紹介しています。

子どもが見えない

NHKスペシャル「子どもが見えない」取材班、義家弘介、金森俊朗『子どもが見えない』(ポプラ社,2005年)
NHKスペシャル「子どもが見えない」取材班、義家弘介、金森俊朗『子どもが見えない』(ポプラ社,2005年)

2004年6月、長崎県佐世保市で、当時小学6年生の女子生徒が同級生を学校で殺害してしまうという痛ましい事件が起きました。

子どもは無邪気で明るくあるべきという大人の思い込みに反し、実際には深い心の闇があるという現実を見つめ、NHK取材班が子どもや教育者の声を1冊の本にまとめました。

この本の内容はこちらの記事でも紹介しています。

授業づくりで変える高校の教室4 理科

川勝博『授業づくりで変える高校の教室4 理科』(明石書店,2005)
川勝博『授業づくりで変える高校の教室4 理科』(明石書店,2005)

全5巻のシリーズ(社会・国語・英語・理科・数学)のうちの第4巻です。

私が理科の教員なのでここでは理科を紹介していますが、優れた授業実践とその解説で構成されている点は、すべての巻に共通です。

理科では、生徒自らが作る「授業ノート」が取り上げられています。

教員の板書を写すノートとは比べられない、授業の効果を飛躍的に高めるノート作りの実践です。

授業を変える 学校が変わる

佐藤学『授業を変える 学校が変わる』(小学館,2000)
佐藤学『授業を変える 学校が変わる』(小学館,2000)

「学び合う教室」や「学びの共同体」をキーワードに学校改革を提言し続けている教育学者、佐藤学氏による実践報告です。

自分の授業をビデオで撮影したり、積極的に同僚教師を参観に招いたりして、学びの共同体を作っていきます。

自分の授業を同僚に見てもらい客観的な評価を受けるのは勇気の要ることですが、授業を変える第一歩は、やはり他者に見てもらうことだと思います。

専門家として教師を育てる:教師教育改革のグランドデザイン

佐藤学『専門家として教師を育てる:教師教育改革のグランドデザイン』(岩波書店,2015)
佐藤学『専門家として教師を育てる:教師教育改革のグランドデザイン』(岩波書店,2015)

同じく佐藤学氏による著書ですが、こちらは教育改革の将来のビジョンを総合的に論じたものです。

現状の日本の教育においては、教育改革は教師改革とほぼイコールだと言います。

教師の質が変わらなければなりません。

そして、そのためには、雇用条件まで含めた教師を取り巻く教育制度の改革も必要となります。

ほんものの思考力を育てる教室:YSFHのサイエンスリテラシー

菅聖子『ほんものの思考力を育てる教室:YSFHのサイエンスリテラシー』(ウェッジ,2014)
菅聖子『ほんものの思考力を育てる教室:YSFHのサイエンスリテラシー』(ウェッジ,2014)

文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」等に指定されている横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校(YSFH)の実践報告です。

同校にはサイエンスリテラシーと呼ばれる特徴的なカリキュラムがあって、そこでは最先端の科学研究を現役の研究者や大学教授から学ぶことができます。

また、そのようなインプットの期間の後には、自ら研究計画を立てて研究を進めていく授業が展開されます。

フィリピンの提携校で開催される英語の研究発表を始め、様々なサイエンスフェアで成果を発表している高校生たちです。

親が1ミリ変わると子どもは1メートル変わる

鳥山敏子『親が1ミリ変わると子どもは1メートル変わる』(カンゼン,2008)
鳥山敏子『親が1ミリ変わると子どもは1メートル変わる』(カンゼン,2008)

シュタイナー教育のモデル校として評価の高い「東京賢治の学校・自由ヴァルドルフシューレ」代表による著書。

文部科学省の基準に沿った学校教育法上の学校を建てるには50億とも100億とも言われる資金が必要ですが、この学校はお金も力もない親と教師によって、ほとんど手作りで建てられた学校です。

その学校が、公立学校から注目されるカリキュラムを実施し、大学からは「卒業生を本学に送ってほしい」と言われるほどになりました。

その秘訣は、親と子と教師の関係にあります。

現代語訳 学問のすすめ

福澤諭吉『現代語訳 学問のすすめ』(ちくま新書,2009)
福澤諭吉『現代語訳 学問のすすめ』(ちくま新書,2009)

かの有名な福澤諭吉先生の『学問のすゝめ』の現代語訳です。

学ぶことは自立の精神を育むことであり、時代を切り開く者には、学んだことを使って自ら何かを企てていく、そんな精神が必要だと説きます。

学問は教室で終わるものではなく、その先の、社会での実践を大切にした学びのあり方を教えられます。

今の時代に読んでも新しい、歴史的名著です。

フィンランドはもう「学力」の先を行っている

福田誠治『フィンランドはもう「学力」の先を行っている』(亜紀書房,2012)
福田誠治『フィンランドはもう「学力」の先を行っている』(亜紀書房,2012)

教育先進国と言われるフィンランドの教育を紹介した本です。

自主性を育むことを大切にしており、教師はあまり手出しをしません。

コツを教えてあとは見守るだけ、ということも多いです。

テストはありません。

 

一方で、こういう自由な学校にも不登校になってしまう生徒はいて、教師は彼らの母親のようにとことん面倒を見ます。

近すぎず、遠すぎず、教師と生徒の間には、生徒の自主性を育むちょうど良い距離感が保たれているようです。

心理学関係

思春期トンネル-高校生カウンセリングの記録-

蔭山昌弘『思春期トンネル-高校生カウンセリングの記録-』(静岡新聞社,2008年)
蔭山昌弘『思春期トンネル-高校生カウンセリングの記録-』(静岡新聞社,2008年)

35年余にわたって学校カウンセラーとして高校生と接してきた教員の実践記録です。

親から受けた傷による情緒不安、不登校、自己否定感などを克服する生徒の様子が記録されています。

嫌われる勇気

岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社,2013)
岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社,2013)

ベストセラーになったアドラー心理学の入門書です。

「すべての悩みは対人関係の悩みである」という出発点に立ち、本当に健全な人間関係とはどういうものかについて、対話形式で論じられています。

子を育てる親、生徒を育てる教師にとって、知っておくべきたくさんのことが書かれています。

この本の内容はこちらの記事でも紹介しています。

幸せになる勇気

岸見一郎・古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社,2016)
岸見一郎・古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社,2016)

『嫌われる勇気』の続編です。

前著よりもさらに教育的側面に踏み込んで語られています。

「叱ってはいけない、ほめてもいけない」など、教師が実践すべき行動の提案がなされており、考えさせられます。

 

対話に登場する青年は、アドラー心理学に出会ってから中学校の教師に転職したという設定なので、とても身近に感じられます。

この本の内容はこちらの記事でも紹介しています。

その他

自分を変える読書術:学暦は学習歴で超えられる

堀紘一『自分を変える読書術:学暦は学習歴で超えられる』(SB新書,2015年)
堀紘一『自分を変える読書術:学暦は学習歴で超えられる』(SB新書,2015年)

読書による戦略的な生涯学習を勧める本です。

年間50〜100冊が目標です。

読書のジャンルとしては、自分の専門分野:小説:その他=4:3:3の割合で読むのが生涯学習に効果的です。

学歴を超えることができる読書の力が紹介されており、私はこの本を生徒への動機付けに使っています。

これを読んで読書に目覚めた生徒もいました。

 

この本の内容はこちらの記事でも紹介しています。

 

この記事をシェアする