この記事をシェアする
地球の年齢
地質年代を描いたスパイラル

 

「地球の年齢はおよそ46億年。宇宙の年齢はおよそ137億年。」

小学校から高校まで、学校ではこのように教えられます。

 

勤務校であるキリスト教学校で「地球の年齢」の授業をするとき、生徒は聖書の記述と矛盾していると言って教師に質問します。

生徒が日ごろ親しんでいる聖書には、世界は6日間で造られたと書かれているからです。

 

もし聖書の記述をそのまま受け取るなら、地球の年齢はずっと若く、長くとも1万年以内に収まることになります。

 

私もクリスチャンであり、聖書の記述は事実であると信じる一人ですが、私はこの部分の記述を文字通り「6日間」と読んではいけないと思っています。

一方で、科学的データが示す「46億年」という地球の年齢の算出方法についても、疑問の余地はあると考えます。

 

ですので、生徒には双方の立場とその問題点を知ってもらい、教師である私の考えも伝えた上で、生徒が自分自身の考えを持つように話しています。

 

地球の年齢は1万年以内なのか約46億年なのか、あるいはそのどちらでもないのか。

地球の年齢を考える際の材料となる知見を、この記事で紹介したいと思います。

地球の年齢に関する検定教科書の記述

日本の検定教科書には、「地質年代」という時代区分が載っています。

 

地質年代とは、地球の歴史を大きく4つのパートに区分したものです。

  • 新生代
  • 中生代
  • 古生代
  • 先カンブリア時代

 

この4つです。

そして、それぞれの年代として以下のような数値が割り当てられています。

新生代6600年前〜現在
中生代2.52億年前〜6600年前
古生代5.41億年前〜2.52億年前
先カンブリア時代46億年前〜5.41億年前

 

表のとおり、最も古い時代が「先カンブリア時代」で、その始まりが46億年前です。

つまり、地球の年齢は46億年ということです。

この表は、手元にあった文部科学省検定済教科書(小川ほか,2015;森本ほか,2015)をもとに作成しました。

地球の年齢に関する聖書の記述

このような歴史観は聖書の歴史観と相容れないと考えられていますが、では聖書によると、地球の年齢はどれくらいになるのでしょうか。

 

ジェマン(2011)は、創造主が6日間で万物を創造されたという事実と聖書の系図のつなぎ合わせから、地球の歴史は1万年以内に短縮されると述べています。

また、久保(1999)は、聖書を文字通り解釈すれば、地球の年齢はおよそ6000年であると述べています。

これらの考え方は、創造の6日間における「1日」を「24時間」として文字通り解釈することを前提としたものです。

 

一方、創造論科学者や神学者の中には、長い地球の年齢を支持する考え方もあります。

例えば、日本を代表するプロテスタント系キリスト教主義大学の一つである関西学院大学の元教授で神学博士のティモシー・ボイル氏は、自身が運営するウェブサイトで比較的長い地球の年齢を支持する考えを述べています。

 

ボイル氏によると、「日」と翻訳されているヘブライ語の「ヨム」という単語には、以下の3つの意味があります。

  1. 昼間(およそ12時間)
  2. 24時間の一日
  3. 不特定のある期間(「時代」や「年代」のような意味)

 

この3つの意味のうち、(2)を採用すれば地球の年齢は若くなりますが、(3)を採用すればもっと長い地球の歴史を考えても差し支えないことになります。

 

ボイル氏は「夕べがあり、朝があった」という聖書の表現に着目し、「日」は明確な始まりと終わりをもった期間であること、夕べと朝の間の期間は1日ではないため比喩的な意味で用いられている可能性が高いこと、創造7日目に対してはこの表現が使われていないため「7日目」はまだ継続中であると考えられること、などを理由に(3)の意味を支持しています。

 

なお、聖書時代のヘブライ語には「年代」を意味する他の単語はなく、「ヨム」だけでした。

 

地球の年齢は1万年以内なのでしょうか。

それとももっと長いのでしょうか。

 

2つの考え方のうちどちらがより確からしいかの議論はまだ決着がついておらず、双方の考えがあることを理解しておかなければなりません。

放射性同位体による年代測定法の未解決問題

上記のように、聖書が長い地球の歴史を書き記していたとしても、その長さが検定教科書のいう約46億年かどうかを判断するには、さらに別の議論が必要になります。

 

多くの科学者が地球の年齢を約46億年と考える根拠の一つとして、放射性同位体による年代測定の結果がよく取り上げられます(例えば、小川ほか,2015)。

 

放射性同位体あるいは放射性同位元素とは、放射線(α線、β線など)を放出しながら崩壊し、核種変化を起こす元素のことです。

放射性崩壊を起こさない元素はこれと区別して、特に安定同位体と呼ばれます。

 

放射性同位体はそれぞれ固有の崩壊速度を持っており、初めの量の半分にまで減少する期間を半減期と呼んでいます。

すでに知られている放射性同位体の半減期を利用することで、岩石や氷、化石などの年代測定が可能になるのです。

 

例えばK-40(カリウム40;質量数が40のカリウムの放射性同位体)の半減期はおよそ12.5億年、U-238(ウラン238)は44.7億年、Rb-87(ルビジウム87)は492億年で、これらを使った年代測定法は非常に長い期間に適用可能とされています。

 

放射性同位体を使った年代測定技術の進展は目覚ましく、近年では非常に少ない試料からも高い精度で年代を決定できるようになってきています。

 

しかしながら、この手法には原理的に避けられない幾つかの不確定要素があります。

その中でも特に重要な問題は、対象とする測定試料の初期の同位体濃度の決定が、しばしば困難であるという点です。

 

10億年、20億年といった試料の年代測定結果は、初期の同位体濃度からの減少量に基づいて算出することになりますが、測定できるのは現在の濃度のみで、初期条件については様々な工夫をして最も確からしい値を推定しなければなりません。

ここにどうしても不確実性が残ることになります。

 

また、この手法は基本的に次のような前提に立っています。

  1. 測定する岩石試料に関して、何十億年に渡って放射性同位元素の出入りがなかった
  2. 放射性同位元素の崩壊速度は、地球史を通して一定だった

 

放射性同位元素の崩壊速度は熱や圧力によって変化しないとされているため、(2)の前提は科学的に確からしいと言えます。

 

すなわち、時刻tにおける原子数N(t)は、

放射性同位元素の原子数の時間変化を表す式

の式で表され、λは定数(「崩壊定数」と呼ぶ)です。

 

一方(1)の前提については、確かな根拠を示すことがしばしば困難になります。

何十億年に渡る地殻変動(地球の変化)の中で、一度できた岩石が溶融・再固化すれば、放射性同位元素の出入りがどうしても生じてしまうからです。

測定結果に重大な影響を及ぼすこれらの前提は、研究者によって非常に厳しく検討されています。

まとめ

この記事の内容を要約すると、以下の通りです。

  • 聖書を文字通り解釈すると地球の年齢は1万年以内となるが、原語の意味や文脈を踏まえるともっと長い年齢を想定することも可能である。
  • 約46億年という地球の年齢を導き出した年代測定法には、原理的に避けられない不確定要素がある。
  • 年代測定法の問題点について、さらなるレビューが必要と思われる。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

引用文献

 

この記事をシェアする