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2022年度より高校の新学習指導要領が本格導入されます。

2018年2月現在、新学習指導要領案が公表されパブコメにかけられているところですが、かなり大きな変更が加えられています。

その中で今回取り上げたいのが、社会科の変更内容です。

 

現行の社会科では、地歴科目として世界史A・B、日本史A・B、地理A・Bが、公民科目として現代社会、政治・経済、倫理が設置されています。

これらの科目が新学習指導要領では、歴史総合、地理総合、世界史探求、日本史探求、地理探求、公共、政治・経済、倫理へと再編されています。

「歴史総合」では、日本と世界の近現代史を学び、「地理総合」では環境問題まで含む地理を学び、「公共」では選挙権、安全保障、領土問題などを学びます。

 

さて、社会科における新学習指導要領の大きな特徴は、日本の領土問題に対して強くアプローチしている点です。

例えば地理総合では、北方領土、竹島、尖閣諸島は日本固有の領土であることを確認し、歴史総合では竹島や尖閣諸島の編入の経緯について学び、公共では現在領土問題として何が残されているかについて学ぶことになっています。

 

日本、韓国、中国、ロシアにとって非常にデリケートな問題ですが、今回の新学習指導要領の内容は、日本の立場を明確にしたという点で良い改定だったと思います。

しかし学校教育の現場では、日本の立場を明確にした上で、関係各国と適切な対話ができるような国民を育成していかなければならないと思います。

 

地理総合の内容に、少し心配なところがあります。

要約しますと、「竹島と北方領土については、日本固有の領土でありながら解決すべき領有権の問題が残っている。しかし、尖閣諸島については日本固有の領土であり、解決すべき問題は残されていない。」というものです。

 

尖閣諸島については解決すべき問題は残されていない。

このように教えられると、おそらく生徒は、「尖閣諸島について中国との対話は必要ないんだな。」と誤解するんじゃないでしょうか。

もちろん教師の教え方にもよりますが。

 

現実問題として、尖閣諸島をめぐる問題は中国との間に存在します。

これにどう対処していけばいいのか。

「問題は存在しないのだから、中国が何をしてきても気にしなくていいんだよ。」ではいけません。

「問題は存在しない」ということを確認した上で、現実的にこんな問題が起こっており、外交的に非常に危惧すべき状態だ、ということを、生徒に教える必要があります。

そして、未来の子供たちに、デリケートな領土問題に対処できるだけの器の大きさを備えていってほしいです。

そんな教育が必要だと思います。

 

最後に、日本固有の領土を英語で何というかについて。

インターネットで調べると、「inherent territories of Japan」という英訳が出てきます。

「inherent」は「固有の」、「territories」は「領土」という意味ですので、ほぼ直訳ですね。

 

外務省の英訳でも「an inherent part of the territory of Japan」が使われています(例えば、Japanese Territory Q&A)。

ですが、この「inherent」という言葉、世界の各国にはなかなか理解されない日本独特の概念なんだそうです。

日本は海に囲まれた島国なので、陸続きで他の国と接している国境がありません。

この特殊性が、「日本固有の領土」という概念を作り出したものと思われます。

 

ほとんどの国は陸続きで他の国と接している国境を持っています。

そして国境がそこに引かれた理由を、両国とも明確な根拠をもって知っているわけです。

陸続きの国境にはこのような厳密性がありますが、日本の場合、国境が海の中に引かれているので、どうしてもあいまいになります。

日本の領土に関するこういった特殊性も、よく踏まえて考えていかなければならないでしょう。

 

領土問題の参考資料として、外務省の関連ページを挙げておきます。

日本の領土をめぐる情勢

竹島問題フライヤー

尖閣諸島フライヤー

 

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