Google Chrome、Gmail、Google Drive、Google Earth など、Google が提供する高品質の無料サービスは、今や世界中のネットユーザーが利用しています。

そして、Google は今後も新しい無料サービスをどんどんリリースしていく見込みです。

 

なぜ Google は、このような高品質のサービスを無料でどんどん提供できるのでしょうか。

知っているようで知らない巨大企業 Google の世界戦略について、様々な面からご紹介したいと思います。

Googleはどんな会社?

有限責任会社 Google は、アメリカ合衆国のインターネット関連企業です。1998年9月4日に設立され、2015年には Google の持株会社として Alphabet Inc. が設立されています。

創業者はラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン。共に1973年生まれで、スタンフォード大学の博士課程在学中に、Google 社を共同設立しました。

事業内容は多岐に渡り、2018年12月現在、検索エンジン、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェアに関連した多くのサービスを提供しています。

 

このように様々な事業を行なっている大企業ですが、もともとは検索エンジンの会社として始まりました。そして、見落としがちなのですが、Google はテクノロジー企業です。ページランク・テクノロジー(Pagerank algorithm)がGoogleの最重要技術であり、創業時から一貫して科学技術のブレイクスルーを追求してきました。博士号を保有するトップクラスの技術者・研究者からなる「世界最高の技術者集団」が Google なのです。

これは技術開発力において大きなアドバンテージであり、Google が提供するプラットフォームを他社がなかなか追従できない原因でもあります。そのため、現状多くの会社は、Google と競合するよりは Google に「乗っかって」ビジネスを行うケースがほとんどです。

日本で Google のサービスが開始されたのは2000年のことです。検索エンジンとしては、Yahoo! JAPAN に次いで、国内で2番目に多く利用されています。ある意味、日本では「まだ2番手」なのですね。

ちなみに、検索ツールとしての Google は、Amazon にもシェアを奪われつつあります。消費者が何か商品を購入しようとするとき、多くの場合「まず Amazon で検索」という人が増えているからです。今後は検索エンジンのシェアだけに着目していると、Google の強みが見えなくなってしまうかもしれませんね。

もちろん、Google の世界戦略は検索エンジンに止まりません。ぼくは、サイバー大陸に巨大なインフラを構築している点、そして、技術開発に引き続き全力投球している点に、Google の最大の強みがあると思っています。

無料サービスでどうやって利益を上げるの?

さて、次は Google の無料サービスについて。ご存知の通り、Google のサービスはほぼ全て無料で提供されています。検索エンジンはもとより、ざっと挙げただけでも下記の無料サービスがあります。

  • メールサービス(Gmail)
  • オンラインエディタソフト(Google ドキュメント)
  • オンライン表計算ソフト(Google スプレッドシート)
  • オンラインプレゼンテーションソフト(Google スライド)
  • ソーシャルネットワーキングサービス(Google+)
  • Webブラウザ(Google Chrome)
  • 写真管理・編集ソフト(Google フォト)
  • ブログツール(Blogger)
  • クラウドストレージサービス(Google ドライブ)
  • 地図検索サービス(Google マップ)

これらのサービスは無料で提供されています。インターネット上で提供するサービスなので、提供自体にかかるコストは小さいでしょう。しかし、開発費用や固定費など、サービスの提供に到るまでには多大なコストがかかっているはずです。

もしかして Google って、言うほど儲かっていないのでしょうか? いえいえ。そんなことはなく、ちょっと古いデータですが、梅田望夫氏の著書『ウェブ進化論』によると、Google は2005年時点で10兆円を超える時価総額でした。しかも、10兆円を超える時価総額を、当時わずか5000人の社員で達成していたと推定されています。一人当たりの時価総額は20億円以上。日本で時価総額2兆円の製造業の場合、社員数は連結子会社も含めると10万人規模です。一人当たりの時価総額は2000万円前後。なんと100倍以上の差があります。

Google は一体どうやってこれほどの利益を上げているのでしょうか。

先述の通り、検索サービスには課金がありません。メールサービス(Gmail)にも、地図サービス(Google マップ)にも、やはり課金がありません。基本的に Google のスタンスは、「サービスを利用するならお金を払ってください」というものではありません。一般的な企業、例えば Microsoft などは、「サービス(ソフトウェア)を利用するならお金を払ってください」です。これが普通なのです。

一方、Google はどういうスタンスでやっているかというと、「広告を出すならお金を払ってください」というものです。

違いは明らかですね。どういうことかと言いますと、検索エンジンというサービスは無料で提供するけど、その検索エンジン上に広告を出すならお金を払ってください、ということです。検索エンジンの利用者からではなく、「検索エンジンの利用者に対してセールスをしたい法人・個人」からお金をもらうのです。

Google の広告ビジネスは画期的でした。検索キーワードに応じて広告を表示させることができるので、個人レベルでニーズに合致した広告を出せるのです。例えば、「羽田空港+駐車場」という2ワードで検索した利用者に対して、検索結果と一緒に、羽田空港近くの駐車場を経営する会社が自社の広告を出せたら。まさにピンポイントですよね。利用者のニーズにマッチした広告なので、高い確率で集客できます。言わば「痒いところに手が届く」ような広告。こうして Google の検索エンジンは、消費者のニーズと販売者の「売り」を細かくマッチングさせることができる広義のマッチングサイトになったのです。

上述の梅田望夫氏の著書『ウェブ進化論』によると、検索キーワードに応じた広告を表示し、広告収入を得るという Google のビジネスモデルは、GoTo.com 社のビル・T・グロスによって最初に開拓された手法だそうです。ペイ・パー・クリック技術(広告を1回クリックするごとに1回課金する技術)と各キーワードに対して広告表示権をオークション形式で販売する手法からなります。なお、GoTo.com 社の後身である Overture Services 社は Yahoo! によって買収され、Yahoo! Search Marketing になったそうです。Yahoo! の広告ビジネスも、元をたどれば Google と同じ流れを汲んでいるんですね。

以上、Google の収益構造についてでした。広告ビジネスでしっかり収益が上げられているので、こんなにもたくさんの無料サービスを提供できるんですね。Google のように、収益化する事業とシェアを拡大する事業を分ける戦略が、近年ますます優位になってきています。

Google と YouTube の関係

今は動画プラットフォームを制する者がビジネスの主導権を握る流れになっていますね。YouTube の宣伝効果はみなさんご存知の通りです。YouTube ができたのは2005年。その後、2006年に Google が16億5000万ドルで買収しました。設立からわずか1年で買収されたわけです。Google の先見の明と言いますか、これによって Google は、現時点で世界最強の動画プラットフォームを有する会社になることができました。

そして、YouTube という動画プラットフォームを手に入れたことで、Google が提供できる広告表示枠は飛躍的に増加しました。みなさんも下記のようなYouTube 広告を普段よく見ていると思います(赤マルの箇所)。これ、全部 Google の広告表示枠なんです。ものすごい量です。

ちなみに、Google が YouTube を買収した当時はまだ人々の間にパソコンやスマートフォンで動画を見る習慣がなく、Google は最初に「動画を見る習慣」をつけさせる世界戦略を行なったと、ITコンサルタントの市村よしなり氏は言います。私たちがいつの間にか YouTube を利用するようになった背景には、「人々に動画を見る習慣をつけさせて広告枠を増やす」というグーグルの世界戦略が隠されていたんですね。興味深いことです。

Google のミッション〜Google はどこに向かっているのか?〜

最後に、Google のミッション(企業理念)について。巨大企業 Google はどこに向かおうとしているのでしょうか?

Google 社のウェブサイトによると「世界中の情報を組織化(オーガナイズ)し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること。」というのが Google のミッションであることがわかります。つまり、「世界中の情報を整理し尽くす」こと。

確かに、その方向へと向かっているように感じます。では、情報を整理し尽くして、何をしようとしているのか。さらに突っ込んで見ていきたいと思います。

上述の梅田望夫氏の著書によると、Google 社の友人が梅田氏に、次のように語ったということです。「世界政府というものが仮にあったとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部 Google で作ろう。」こんな大きなことを、Google 社員は極めて真面目に考えているそうです。実際にそれを行うには、高い倫理観が必要なことは言うまでもないでしょう。

Google 社には、実は「真に平等な世界を作る」という壮大なビジョンがあります。検索エンジンの会社であると思われている Google が、なぜ「真の平等」などという壮大なビジョンを掲げることができるのでしょうか。それは、今回の記事では取り上げなかったのですが、Google AdSense というサービスが国家間あるいは個人間の収入格差を少なくすることに多大な貢献をしているからです(Google AdSense とは、個人のウェブサイトにGoogle の広告表示枠を設置し、そこで発生した広告収入の一部を Google からもらうシステムのことです)。

Google のウェブサイトには、「Google が真実だと見出した10の事柄(10 things Google has found to be true)」というものがあるのですが、その中の一つに、「ウェブ上の民主主義は機能する(Democracy on the web works.)」という項目があります。Google は本気で、インターネット関連事業を通じて真に平等な世界を作ることができると考えているのです。このあたりが、巨大企業 Google が向かっている方向なのかなと思っています。

 

そのほか、参考までにぼくが気になったGoogle のビジョンをあげておきます。

「言語を意識せずにインターネットを使えるようにする。」

音声入力とか、ウェアラブル端末とか、どんどんその方向に進んでいるように思います。

「邪悪になるな (Don’t be evil.)」

こちらは非公式なスローガン(従業員行動基準)だそうです。梅田望夫氏の著書より。このスローガンが真実であるように願っています。

参考文献

梅田望夫『ウェブ進化論』

SEO Japan『Google のマーケティング予算から Google のグローバル戦略を読む!』
http://www.seojapan.com/blog/googleのマーケティング予算からgoogleのグローバル戦略

IT活用術〜新たなマインドと収益を創る〜『グーグルが YouTube で世界戦略!? 10年間行った意外な方法とは?』
http://www.ichimura.me/archives/strategy.html

フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)『Google』
https://ja.wikipedia.org/wiki/Google

Pandia Search Engine News 『Google: one million servers and counting』
http://www.pandia.com/sew/481-gartner.html