ユニークな学校として今回ご紹介するのは、三重県伊賀市にある愛農学園農業高校です。

愛農学園は日本で唯一の私立の農業高校で、驚くべきことに卒業生の半数近くが地元などに帰って農業の担い手となっているそうです。

 

さっそく愛農学園の魅力と特色をご紹介したいと思います。

自然豊かな環境で育まれる人間性

愛農学園が位置するのは三重県伊賀市の山間部で、広大なキャンパスには農園、牛舎、養豚場、養鶏場、学生寮などが備えられています。

下の図がキャンパスマップ。

某テレビ番組のDASH村を思わせる自然豊かなキャンパスです。

キャンパスマップ(愛農学園ホームページより)

 

そして、愛農学園の生徒は全員親元を離れて寮生活をします。

便利さから離れ、喧騒から離れ、24時間自然の中に身をおきます。

このような環境でこそ、勉学に集中し、男女交際や娯楽を節制し、健やかな体を育て、安定した情緒と品性を育てることができます。

美しい木造校舎と学習設備

愛農学園の校舎は美しい木造校舎です。

下の写真のような感じで、温かみがあり、落ち着く空間になっています。

また、学習机をはじめとする学校の設備も、質感やデザインが大切にされていることが伺えます。

なんだか居心地良さそうですよね。

本校舎(愛農学園ホームページより)
森館(愛農学園ホームページより)

 

学校は、生徒が安心して過ごせる場所でなくてはなりません。

人間関係や防犯・防災の観点はもちろんですが、このような設備面での落ち着きある空間作りもとても重要になってきます。

これによって子どもたちがくつろげるなら、学校としての価値が何倍にも増すことでしょう。

キリスト教に根ざした人格形成

愛農学園はキリスト教神学を土台として建てられた学校です。

創立者の小谷純一先生(1910−2004)は、次のような言葉を遺しています。

農業者たる前に人間たれ

 

農業者を育てる学校でありながら、「人間」を育てることをもっと大事にしているんですね。

 

将来の農業を担う人材を育てながら、その中で、豊かな人間性を育みます。

豊かな人間性とはなんでしょうか。

そこには、ある意味の「正しさ」が欠かせません。

 

人間には、何となくの善悪の基準(道徳観)はあるものの、はっきりとした善悪を判断することは、なかなかに難しいものです。

善悪は相対的であり、その基準は人によって、国によって、文化によって、時代によって、いつも異なります。

豊かな人間性には、ある意味の「正しさ」が必要だとぼくが考えるのは、このような、人間が本質的に持っている曖昧さのためです。

 

簡単にいうと、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」がまかり通ってしまうのが、ぼくたち人間の世界なんですよね。

みんながやっているから、という理由で善悪を決めてしまう。

これでは、真に豊かな人間性は育めないと思うんです。

むしろ、周りが良いと言っても、ダメなものはダメ、と言える人間性。

こういうものが「豊かな人間性」だと思うんです。

 

さて、ちょっと話がそれてしまいましたが、愛農学園には、ある意味の「正しさ」を身につける上で重要な、1本の柱があります。

それがキリスト教神学です。

愛農学園が大事にしている神・人・地球

ということで、愛農学園には、人格形成の場としてキリスト教の土台がしっかりとあるわけです。

 

愛農学園が掲げるスローガンで、三愛精神というのがあります。

・Love God(神を愛する)

・Love people(人を愛する)

・Love earth(土を愛する)

 

この3つです。

「土を愛する」は、農業高校らしいですね。

このような3つの愛を育むことで、「農業者たる前に人間たれ」を実践しているのです。

 

ここでちょっと、「土を愛する」について考えてみたいと思います。

農業高校だから、作物や家畜を育ててくれる「土を愛する」ことは当然のことのように思いますが、結構深い意味があるなと思いました。

 

ここの生徒たちは、命の大切さをきちんと学んでいるんです。

家畜を育て、殺し、精肉し、食す過程を通して、自分たちが他の生き物の命をいただいているんだという感覚を、肌で覚えているんです。

食べるものへの感謝と尊敬、他の命の上に自分が生かされているという畏れは、健全かつ謙遜な精神を育みます。

 

「土を愛する」ことで、これほどまでに豊かな人間性が育まれるんですね。

ぼくも学生時代からずっと聖書に親しんできたので、「神を愛する」や「人を愛する」は馴染みがあったのですが、「土を愛する」は初めて聞きました。

 

そして、土(earth)は地球(the Earth)にも繋がると思います。

キリスト教では、人間は神からこの世界の管理を任された、神の代理人であるから、この地球をよく管理しなくてはならない、と考えます。

つまり、人だけでなく、動物、植物、環境、資源など、全ての「被造物」を大切にしなければならないわけです。

 

「神を愛する」「人を愛する」の次に「土を愛する」があるのは、聖書の教え通り、「この地球を愛しなさい」あるいは、「全ての被造物を愛しなさい」という意味なのではないかと思います。

これはぼくの推測ですけど。

最後に

いかがでしたでしょうか。

愛農学園、素晴らしい学校ですね!

 

ぼくは三重県の四日市市で生まれ育ったので、愛農学園が三重県にあると知ってとても嬉しくなりました。

自然が豊かで、いい場所なんですよ、三重県。

(ちなみにコンビナート由来の四日市ぜんそくが4大公害病として広く知られていますが、それは愛知県寄りの一部の海岸地帯のことです。)

 

愛農学園は1963年に高等学校として認可され、今年(2018年)で創立55周年を迎えました。

歴史に裏付けられた確かな実績と、いまもブレることなく建学の精神を粛々と実行している伝統に、とても魅力を感じます。

 

さらに詳しい情報を知りたい方は、愛農学園のホームページをご覧ください。

愛農学園農業高校のホームページはこちら