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モンゴルのゴビ砂漠は大型恐竜化石の宝庫。
発掘の歴史は古く、1922〜1930年にかけてアメリカの調査隊が最初の発掘を行なって以来、保存状態の良い恐竜化石の数々が世界中で知られるようになりました。
ゴビ砂漠の場所は、下の地図の黄色い部分です。
モンゴルと中国の国境付近に広がっていますね。
世界第4位の広さを誇るゴビ砂漠。
ちなみに「ゴビ」とは、モンゴル語で「砂漠」の意味だそうです。
化石が発掘される場所は、白亜紀という恐竜全盛時代の地層です。
こんな風景のところ。
約6600万年前に恐竜を含む大量絶滅が起こり、白亜紀が終わりますが、そんな大昔の時代の地層がゴビ砂漠に広がっているわけです。
そして最大の注目は、なんと言っても全長約13メートルの大型肉食恐竜、タルボサウルス。
ティラノサウルスの仲間で、巨大な頭と凶暴な歯を持っていました。
他にも大型恐竜としては、体長約13メートルの植物食恐竜、サウロロフスも見つかっています。
あ、「植物食」って、聞き慣れませんよね。
以前は草食恐竜と呼ばれていましたが、「草だけじゃないでしょ」ということで、植物食恐竜と呼ばれるようになりました。
そして、もちろんゴビ砂漠で見つかるのは大型恐竜だけではありません。
スティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット映画『ジュラシック・パーク』(1993年)でも有名になった小型の肉食恐竜、ヴェロキラプトルの化石も見つかっています。
このヴェロキラプトル、小さいと言っても、体長約2メートルもあるんです。
人間からしてみれば、十分にデカい。
映画の中での存在感も凄まじく、めちゃめちゃ怖かったです。
その他の有名どころとしては、草食恐竜のプロトケラトプス(体長約1.8メートル)なんかもいます。
「ケラトプス?」
なんだか聞き覚えのある名前ですが、そう、あの三本角のトリケラトプスの祖先なんです。
トリケラトプスは三本のツノがある恐竜。
プロトケラトプスは、ツノがある恐竜(ケラトプス)のプロトタイプです。
要するに「ツノがないトリケラトプス」、と言ったところ。
オウムのような可愛いらしい顔をした小型の草食恐竜、プシッタコサウルスというのも有名です。
体長1〜2メートルほどのこの恐竜がなぜ有名かというと、なんと、「哺乳類に食べられていた恐竜」として有名なんです。
実は最新の恐竜研究によると、白亜紀という恐竜全盛のこの時代、哺乳類もけっこう負けていなかったらしいのです。
レペノマムスというオオカミくらいの大きさの哺乳類が、プシッタコサウルスの子供を食べていた証拠が見つかりました。
これまで恐竜時代の哺乳類といえば、隠れて生き延びているような日陰の存在だったわけです。
ところが哺乳類に食べられていた恐竜、プシッタコサウルスの発見により、「恐竜と競い合う哺乳類」という全く新しいイメージが形作られることになりました。
この辺の詳しい話は、記事の最後の「オススメ本」コーナーをご参照ください。
ゴビ砂漠は今も恐竜化石の宝庫ですが、近年注目されるようになった恐竜化石の宝庫として、中国の遼寧省があります。
恐竜に羽毛が生えていた証拠が見つかったり、恐竜の色の復元に役立つ色素が見つかったり、目覚ましい発見が続いています。
また、古くから知られるドイツのゾルンホーフェンは、始祖鳥の化石で有名ですね。
保存状態の非常に良いこれらの地層は、私たちに太古の恐竜の姿を明らかにしてくれます。
6600万年以上も前の生物の姿が今の時代に蘇るなんて、信じられない奇跡ですね!
今後も恐竜研究の新発見にさらなる期待が高まります。
もっと知りたい人のためのオススメ本
M・ステルプ、J・-S・ステイエ、B・ロワイエ、E・ポー『スーパービジュアル再現 羽毛恐竜と巨大昆虫』(日経ナショナルジオグラフィック社,2018)