豊富な色合いと2種類の発光現象
透き通るガラス光沢が美しい蛍石は、色のバリエーションが豊富。写真のような濃い緑のほか、紫や薄ピンク、黄、青緑、青などがあり、色の濃さもさまざまです。ただし蛍石の本来の色は無色で、これらの色合いは結晶中の原子の並びのちょっとした乱れや、微量に含まれる不純物が原因で現れます。
また、蛍石には2種類の発光現象も見られます。一つは加熱による発光で、ガスバーナーなどで熱した蛍石を暗がりにおくと、しばらくの間青白い穏やかな光を発します。これが和名「蛍石」の命名由来。実験する場合には、加熱時に弾け飛ぶことがあるので、試験管に入れてアルミホイルで軽く栓をしてから加熱するなど、十分な安全対策が必要です。
もう一つは紫外線による発光で、暗がりで紫外線ライトを当てると弱い青紫の光を発します。実験の際には、紫外線ライトを直視したり、皮膚に長時間当てたりしないように注意してください。なお、紫外線ライトは波長365ナノメートルのものが観察しやすくおすすめです。
結晶の形は立方体がほとんどですが、劈開面に沿って割るときれいな八面体になります。熱水鉱脈や花崗岩中の空洞、スカルンでよく見られ、結晶の外形がはっきりしない無色の蛍石は石英と似ています。
鉱物の基本データ
- 化学式:CaF2
- 結晶系:立方晶系 Cubic/Isometric
- 比重:3.2
- モース硬度:4
- 分類:ハロゲン化鉱物
- 劈開:四方向に完全
- 光沢:ガラス光沢
- 色:無色、緑色、紫色、ピンク色、黄色
- 条痕色:白色
参考URL
mindat.org | Fluorite(蛍石の詳しい情報・データ・産地など)
もっと知りたい人のためのオススメ本
渡邉克晃『ふしぎな鉱物図鑑』(大和書房,2022)