恋路海岸のあられ石(霰石)は、岩の中に薄ピンク色のガラスの花が咲いたような、なんとも美しい姿をしています。2024年の能登半島地震から2年4ヶ月。後世に残したい日本の鉱物産地は、いまだ健在でした。
2026年5月、震災後の能登へ

2026年5月16日、能登半島での3日間のボランティア日程を終えた翌日に、レンタカーを借りて一人奥能登の恋路海岸に向かいました。
石川県能登町の恋路海岸は、昔から霰石(あられいし)の美しい結晶が採れる場所として有名です。岩の中に薄ピンク色の花が咲いたようなその姿は、「恋路」という地名の響きとも相まって、鉱物ファンの間でとても人気があります。

2024年の能登半島地震から2年4ヶ月が経過。今回の調査では、震災後に霰石の産地がどうなっているか、もう少し具体的に言うと、隆起や沈降の影響はないか、産地に至る道に崩壊の影響はないかということを、直接見に行ってきました。
こちらの産地は場所も公開されているので、マップを載せておきます。貴重な鉱物産地は荒らされる心配から産地を公開しないのが慣例ですが、恋路海岸はそもそも国定公園なので、自然公園法により無許可の採取は禁止されています。採取目的の人は多分行かないでしょう。
それよりは、貴重な鉱物産地を間近に観察できるジオサイトとして、また、震災で観光客の少なくなった奥能登への旅の目的の一つとして、足を運んでいただけたらと思います。車で近くまで行けます。


満潮時を避けて玄武岩が散らばる黒い海岸へ
朝の9時半ごろ、霰石産地の海岸付近に到着。車を停めた場所から少し歩いて、玄武岩が散らばる黒い海岸に降りました。
海岸での調査のため、潮の満ち引きには十分に注意しておかなければなりません。事前情報によるとこの日の干潮は7時50分、満潮は13時19分でした。金沢市から車で向かったので、干潮には間に合わず。でも満潮までには十分余裕がある時間帯です。
海岸に打ち上げられた流木がとてもきれいでした。

セラドン石と不定形の霰石を確認
海岸をしばらく歩くと、足元の玄武岩にときどき青緑色の鉱物が見られる場所がありました。霰石の結晶は玄武岩の空隙中に生成しているのですが、その空隙にはしばしば青緑色の鉱物であるセラドン石が一緒に見られます。

セラドン石が見つかって、「これは期待できるかも」と思って霰石を探しましたが、そうはうまくいきません。ようやく見つけたのは、玄武岩の空隙を埋める不定形の霰石。黄褐色や白色で、不透明な姿をしています。
ちなみに、国定公園なのでハンマーで玄武岩を割ることは厳禁。調査したのはもっぱら海岸に転がる石ころや、大きめの岩塊の表面です。霰石のきれいな結晶は、おそらく玄武岩を割らないと出てこないのでしょう。
今回、博物館の標本(上記の写真)のような美しい霰石は見つかりませんでしたが、恋路海岸の霰石産地は今も健在であることが確かめられました。隆起や沈降、崩壊の影響はなく、産地までの道も乗用車で問題なく通行できました。

撮影機材
動画:
iPhone 16
地質風景写真:
Canon EOS M with EF-M 22mm F2 STM
鉱物写真:
SONY α7II (ILCE-7M2)
SIGMA ART 70mm F2.8 DG MACRO
TELE CONVERTER TC-2001








