なぜWEBメディアなのか。
それは、問題発見型の教育環境を実現するのに、最適な方法だと考えているからです。
「問題発見型」というのがキーポイントです。
誤解を恐れずに言いますが、子供たちは、先生に教えられても学びません。
「問題を出されて、それを解決する。」
そういう能力だけなら、2020年以前の学校教育でも身につくと思います。
でも、本当に必要なのは、自分から問題を見つけ出してそれを解決していくこと。
問題がすでにある、という時代は終わりました。
食べ物も住む場所も、なんでも十分にあります。
しかし、そういった明らかな問題がなくなった分、私たちが抱える問題は細分化され、抽象的になり、目に見えなくなりました。
あるいは、自覚するのすら難しいかもしれない。
子供たちがこれから立ち向かって行かなくてはならない問題というのは、こういう問題なのです。
先生が学校で提示する問題は、問題じゃない。
だから、子供たちに自分で問題を発見していく人間になってほしい。
今はインターネットの時代。
先生が知識を教えなくても、子供たちは自分で勝手に調べられます。
学校の先生が持っている情報と、子供たちがインターネットから得られる情報に、大きな差はありません。
知りたければ、インターネットで調べればいいのです。
そして、学校に行くより現場に行って、体験する方がいいのです。
私が教える地球科学というものは、おそらく子供たちが知りたいことの中でそれほど重要なものではないでしょう。
極端なことを言えば、学びたくない人は学ばなくてもいいのです。
十分に生きていける。
学校の先生をしていた時は、なんとか地球科学の面白さを知ってもらおうと、いろんな努力と工夫をして子供たちに教えてきました。
でも、どうしても需要と供給のバランスが合わない。
簡単に言えば、教室に10人いたら、7人くらいの生徒には必要とされていないわけです。
少なくとも、今その瞬間に学ぶ必要性が感じられない。
だから、WEBメディアなんです。
インターネットで地球科学の授業をすれば、日本中の地球科学を学びたい子供たちが生徒になります。
そしてインターネットでつながった生徒たちを対象に、出張授業や地球科学ツアー、実験イベントなどを開催すれば、実際にいろんなことを体験してもらうことができます。
地球科学を学びたい生徒だけに。
この素晴らしくカスタマイズされた教育環境を実現することが、問題発見型の教育環境を整えることであり、子供たちの才能を存分に引き出してあげられるインターネット時代の教育のあり方だと考えています。
もちろん、課題もあります。
学校が果たしてきたコミュニティの役割は大きいので、それに替わるコミュニティが必要でしょう。
そして、インターネット上には爆発的に情報があふれていますので、子供たちを混乱させたり、まちがった知識を植え付けたりすることがあるでしょう。
まだ過渡期なので、ある意味で仕方のないことです。
私はWEBメディア『グラニット』を通じて、日本中の子供たちに地球科学を教える先生になりたい。
どこかの学校で教壇に立ち続けるなら、何十人、何百人の先生にしかなれません。
しかも、その中に地球科学を必要としている生徒が、何人いるか。
自分がこれまで勉強し、これからも勉強していく専門分野の知識を最大限に活かして、次の世代を担う子供たちの成長を手伝いたい。
そして、「地球科学で子供たちの世界を広げる!」というミッションで、世の中の役に立ちたい。
それが私の実現したい夢です。