オパールの構造は小さな球の集まり
10月の誕生石としても知られる虹色の宝石、オパール。傾けると赤、青、黄、緑といった様々な色が現れたり消えたりする、とても美しい宝石です。
この揺らめくような虹色の反射は「遊色(ゆうしょく)」と呼ばれ、オパールが小さな球の集まりでできているために起こります。球の大きさは直径約200ナノメートル(2ミリメートルの1万分の1)。たとえるなら多くの細菌よりもずっと小さく、ウイルスに近いサイズです。
オパールは、一般的な鉱物と違って結晶ではありません。小さな球の一つ一つは、ケイ素(Si)と酸素(O)からなるケイ酸イオンが不規則に並んだ構造をしており、このような物質のことを「シリカ」と呼んでいます。
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水がなくなると割れてしまう
小さな球の集まりでできたオパールには、「乾燥に弱い」という弱点があります。
ちょっと頭の中で、オパールに見立てて、同じ大きさの球をびっしりと並べてみてください。球と球の間にはどうしても隙間ができますね。この隙間には水分子が含まれています。
「水分子が含まれている」といっても、液体の水を含んで湿っているという意味ではありません。これは部屋の空気を考えると理解しやすいです。晴れた日のカラッとした空気でも、実際には湿度40〜50%ほどで、ある程度の水蒸気を含んでいますね。オパールにくっついている水分子も、これと同じようなものと思ってください。
つまり、オパールにもある程度の「湿度」があるわけで、あまりにも乾燥させすぎると都合が悪いのです。球の隙間の水分子が失われた結果、割れてしまうこともあります。
ファイア・オパールと呼ばれる写真のような赤色のオパールは、特に乾燥に弱いことが知られています。
実は遊色のないオパールの方が普通
オパールといえば虹色の遊色が有名ですが、遊色を示さないオパールもあります。というより、実は遊色のないオパールの方が普通です。
遊色がないので、元々の色、つまり地色(じいろ)がそのまま見えているわけですが、代表的な色は半透明から不透明の白色。見た目がゆで卵の白身に似ていることから、「蛋白石(たんぱくせき)」とも呼ばれています。「蛋白」とは卵の白身を意味する言葉です。白色以外に、黄色、オレンジ色、褐色、青色、緑色、赤色など様々な色のものがあり、透明感のあるものは宝石にも加工されます。
一方、遊色のあるオパールは産地が限られていて、白色や黒色の地色に青系の遊色のあるものはオーストラリア産、オレンジ色や赤色の地色に赤系の遊色のあるものはメキシコ産が有名です。
遊色のある・なしは、オパールを構成する球の大きさが、そろっているか・いないかによります。球の大きさがある程度同じで、しかも規則正しく並んでいる時だけ、遊色が現れるのです。
鉱物の解説:オパール
ケイ素(Si)と酸素(O)でできた小さな球(球状のシリカ)が、びっしりと集まってできている鉱物です。成分だけ見ると、同じくケイ素と酸素でできている石英と良く似ていますが、オパールを構成する球の一つ一つは、結晶ではありません。このような鉱物は「非晶質(ひしょうしつ)」と呼ばれます。
また、オパールを構成する球と球の隙間には、水分子が含まれています。その量は、重さにして6〜10%ほど。
オパールに特徴的な虹色の遊色は、球の大きさがある程度そろっていて、それらが規則正しく並んでいる時にだけ見られる珍しい現象です。遊色には大きく分けて青系と赤系の2通りがあり、違いは球の大きさによります。球が大きめだと赤系の遊色になり、小さめだと青系の遊色になります。
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