Photo: Pixabay (by StockSnap)

 

「虫歯は自然に治る!」なんて言われても、虫歯に悩んでいる人にとっては、すぐには信じられないことだと思います。

歯医者さんでは、虫歯は削って治すもの、あるいは、ひどい場合には歯を抜くしかない、というのが一般常識だからです。

 

しかし、そんな常識をくつがえす治療法が、一部の専門家の中では新しいスタンダードになりつつあります。

それは、「歯も自然治癒力で治す」というものです。

この記事で紹介する治療法は以下の本で詳しく紹介されていますので、もっと深く知りたい方は併せてご参照ください。

 

小峰一雄『名医は虫歯を削らない:虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法』(竹書房,2016年)


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親知らずが虫歯になったら

さて、私(当サイト管理人の渡邉)が「自然治癒力で歯を治す方法」に出会ったのは、親知らず(おやしらず)の虫歯で悩んでいたときでした。

 

私の場合、下の歯の親知らずが2本とも真横を向いて生えていて、そのうち1本は、少しだけ歯ぐきから頭を出している、という状態でした。

上の歯の2本の親知らずはずっと以前に虫歯になって抜歯していたのですが、幸い生え方が普通で、それほど困難な抜歯ではありませんでした。

しかし、真横に生えた親知らずは、抜くとなると大変です。

 

私は何とかこの下の歯の親知らずを抜かずに済むようにしたいと、歯医者さんの定期検診(+クリーニング)にまじめに通い、日常の歯磨きも、歯間ブラシ、フロス、音波歯ブラシを使って丁寧に行っていました。

歯磨きペーストは歯医者さんに勧められたフッ素配合のものを使い、半年に1度のフッ素塗布もしてもらっていました。

フッ素による予防法は、現在の歯科医学会で、唯一虫歯予防に有効だと実験的に証明されている方法と聞いたからです。

 

これだけのことをしていたのですが、歯医者さんからは「この親知らずはいつかは虫歯になるよ」と言われていました。

私はこの予言に何とか抵抗しようとがんばりました。

しかし、ついに、その日が来てしまいました……。

 

ある月の定期検診で、親知らずが虫歯になっていると診断されたのです。

検診をしてくれた歯科衛生士さんからは、「今すぐ抜かなくてもいいですが、放っておいても自然と治るものではないので、いつかは抜歯することになります。」と言われました。

 

けっこうショックを受けた私は、何とか抜かなくていい方法を探したくて、インターネットでいろんな歯医者さんを探しました。

自宅から遠かったのですが、「抜かない治療」を看板に掲げている歯医者さんにも診てもらいました。

しかしそこでも、「歯科ドリルが届かなくて治療ができない。抜くしかない。」という診断でした。

真横に生えた親知らずは、抜くのが大変

「抜くしかない」と言われても、実際に抜くとなると大変です。

歯医者さんによると、真横に生えている歯を途中まで切断・除去し、横方向に引っ張れる空間を確保してから、二股に分かれている歯の根を別々に抜くために再び水平方向に切断し、周りの歯ぐきの骨も削らないといけない、と言うことでした。

 

今まで類似の経験のない私にとっては、これはたいへんな手術です。

一応、「静脈内鎮静法」という麻酔を使えば、半分眠っているような状態で治療してもらえて治療中の痛みはかなり軽減されるそうなのですが、それでも抜くことにとても抵抗がありました。

虫歯は自然に治るのか?

そんなとき、インターネットで「自然治癒力による抜かない歯科治療」に出会いました。

そしてこちらの本に行き着いたのです。

小峰一雄『名医は虫歯を削らない:虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法』(竹書房,2016年)


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この本によると、虫歯は本来、適切な口内環境・生活習慣に戻してあげれば、自然に治るものなのだそうです。

具体的には、次のような対策が有効です。

  • 甘いもの(特に砂糖)を摂らない。
  • 野菜中心の食生活にして、口内環境の酸性化を抑える。
  • 精神的なストレスをなるべく受けないようにする。
  • 患部をゴシゴシ磨かない(優しく磨く)。

このような自然治癒力による治療方法は、多くの歯科医療の現場ではまだあまり知られていないそうなのですが、ちゃんと学術論文で公表済みの、最新の研究成果に基づくものです。

 

歯が虫歯になるかどうかは、歯の内部を循環している体液の性質と方向(流れる向き)によって決まるとのこと。

上記の具体策のうち「甘いものを摂らない」や「野菜中心の食生活」には、体液の性質を改善する効果があります。

 

また、同じく「甘いものを摂らない」や「ストレスを受けない」などには、体液の循環方向を正常に保ち、逆流を防ぐ効果がある。

そして最後の「患部をゴシゴシ磨かない」は、自然治癒の過程で起こる「歯の再石灰化」を妨げないようにするための対策です。

自然治癒を促進するドックベスト療法

口内環境や生活習慣の改善は、基本的には自分自身が行うものです。

これらに加えて、先ほど紹介した本には、自然治癒を促進する削らない治療方法(=ドックベスト療法)についても詳しく紹介されています。

 

自然治癒による歯科治療を実践している専門医に相談すれば、この「ドックベスト療法」を受けられることが多いです。

この治療方法は、患部に特殊なペーストを塗布し、殺菌、患部の保護、再石灰化の促進などを行うものです。

削らないことはもちろん、歯科ドリルを使わないので、ドリルの届かない狭い患部にも治療を施せます。

実践してみた結果

私は本を読んだ後、とりあえず甘いものを徹底的に食べないようにし、できる限り自然治癒による治療方法(口内環境・生活習慣の改善)を実践してきました。

その結果、虫歯の進行は止まり、みごとに患部の自然治癒が起こったのです。

 

2017年8月以降、念のため年1回のペースで小峰歯科医院(上記著者の小峰氏のクリニック)にて診察してもらっていますが、虫歯になっていた親知らずの患部は再石灰化が進んでおり、特に治療の必要はないとのことでした。

 

と言うわけで、真横に生えた親知らずを抜かずに済み、とても感謝しています。

「歯は自然に治る」という歯科医療の新たなスタンダードを、自分自身で体験することができました。

参考文献