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砂糖の害悪について、「砂糖を摂ると胃と十二指腸の動きが一時的にストップする」という、東京大学の研究報告があります。

この報告、なかなか衝撃的な内容なので、もう少し詳しく見てみたいと思います。

 

実験の概要はこうです。

胃というのは通常は1分間に3回程度のペースで動き、定期的に内容物を腸へと送り出しているわけですが、被験者に砂糖水を飲ませたところ、胃の動きが数十秒間に渡って完全にストップしたそうです。

そして、次に塩水を飲ませると、急に胃が活発に動くようになった。

 

東京大学はこのような胃の動きを「糖反射」と名付けましたが、そのメカニズムはまだ解明されていないそうです。

様々な検証を経て、冒頭の「砂糖を摂ると胃と十二指腸の動きが一時的にストップする」という結論に至りました。

 

さて、この実験結果は、「ふーん、そうか」で済ますことのできない重要な知見です。

なぜなら、胃腸の動きが止まることであらゆる栄養分が吸収されなくなるからです。

胃が止まっている時間の長さは摂取した砂糖の量にもよりますが、食前に甘いお菓子や清涼飲料水を飲むと、1時間以上の長時間に渡って全く胃が動かなくなるそうです。

 

自分の子どもや自分自身が、砂糖の入った甘いお菓子を食べた時のことを、想像してみてください。

お菓子を食べた後の胃は麻酔をかけられたように完全にストップして、中のものを1時間以上も消化しない。

やっと目を覚まして動き出すころには、また清涼飲料水を飲んでいる……。

 

大げさではなく、この繰り返しです。

もちろん食事もあまり食べられません。

消化不良になっていてお腹が減らないからです。

 

満腹感はあっても、肝心の栄養が吸収されていないので、栄養的には飢餓状態

お腹が減っていないのに、なんとなくまた甘いものを食べてしまう。

これではろくな栄養が得られないので、痩せすぎ(いわゆる「痩せの大食い」)になってしまいます。

 

いかがでしょうか。

想像すると恐ろしくなりませんか?

砂糖を摂らないことがいかに重要か、わかると思います。

 

「糖反射」が起こる砂糖の量は角砂糖1/4〜1/5程度、清涼飲料水15mL程度というわずかな量。

ですから、砂糖の入っているものを食べたり飲んだりすれば、すぐに「糖反射」は起こります。

甘い味付けの料理であれば、夕食が丸ごと消化されずに胃に残る事態に……。

 

砂糖と栄養吸収の正しい知識を持って、消化不良や痩せすぎ体質を改善していきましょう。

 

なお、「糖代謝」が起こるのは砂糖などのいわゆる精製糖(ショ糖、果糖、液糖、ブドウ糖など)です。

糖質(炭水化物)も消化されることでブドウ糖になりますが、糖質で「糖代謝」が起こることはありません。

従って「砂糖の害悪」と「糖質の害悪」を混同しないように注意が必要です。

参考文献