紫水晶 Amethyst(産地:ブラジル Brazil/2021年撮影/標本の幅:約6cm)
紫水晶 Amethyst(産地:ブラジル Brazil/2021年撮影/標本の幅:約6cm)©︎Katsuaki Watanabe

微量の鉄と不安定な電子が作る紫色

水晶(石英)に微量の鉄が含まれると淡い黄色になりますが、そこに自然由来の放射線が作用することで、紫色の「紫水晶(アメシスト)」ができ上がります。放射線によって紫色になるなんて、不思議ですね。しくみとしては、放射線の作用で鉄原子の周りにある電子が不安定な状態になり、それらの電子が特定の色の光だけを吸収するようになるためだと考えられています。

放射線の影響のない淡い黄色のものは「黄水晶(シトリン)」ですが、天然での産出は稀。

紫水晶は、加熱や長時間の直射日光(紫外線)によって退色してしまいます。この性質を利用して、紫水晶を加熱して作った人工の黄水晶が市場に多く出回っていますが、このような黄水晶は、天然のものに比べて褐色味の強いものになりがちです。

鉱物の基本データ

  • 化学式:SiO2
  • 結晶系:三方晶系 Trigonal
  • 比重:2.7
  • モース硬度:7
  • 分類:テクトケイ酸塩鉱物
  • 劈開:なし
  • 光沢:ガラス光沢
  • 色:紫色
  • 条痕色:白色

参考URL

mindat.org | Amethyst(紫水晶の詳しい情報・データ・産地など)

もっと知りたい人のためのオススメ本

渡邉克晃『ふしぎな鉱物図鑑』(大和書房,2022)

『ふしぎな鉱物図鑑』渡邉克晃(2022年7月7日刊行)
Amazon | 楽天ブックス