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私が地球の自然、とりわけ岩石や地層に目を向け続けるのは、地球自身の生み出す美しさがそこに凝縮されているように感じるからです。硬くて、ひんやりとしていて、静かで、力強い。そんな美しさです。写真を通して、普段の生活では気づくことのない、とっておきの地球の美しさに、少しでも気づいてもらえたら嬉しいです。

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さて、SDGs(持続可能な開発目標)に関心が集まる中、各種メディアや教育現場では、「地球環境を守るにはどうすればいいか」が大切なテーマとして取り上げられています。

しかし、どれだけ地球を守ることの重要性が強調されても、あるいは、「SDGsに取り組みましょう!」と声高に叫ばれても、そもそも地球に関心のない人の耳には、ほとんど届きません。報道や教育によっては、この現状はなかなか変えられないのではないかと思っています。

私はサイエンスコミュニケーターとして、おもに一般向けの科学書を書く仕事をしています。ですから、私もまた「各種メディア」の一人なのですが、私にはこの現状を変えるための一つの作戦があります。

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それは、「まず地球を好きになってもらう」ということ。ただ文章で地球の魅力を伝えるのではなく、書籍には美しい地質風景や鉱物の写真をたくさん取り入れて、「地球ってこんなにも美しかったのか!」と感動してもらうことを大切にしています。

私の写真を見て、あるいは文章を読んで、地球をもっと好きになってもらうことが私の目標です。なぜなら、地球のことを好きになった人が、未来の地球を守っていくと考えているからです。

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何かを守るって、手間がかかるし、面倒です。そんな手間のかかることを誰がわざわざするのでしょうか。相当なモチベーションが必要ですよね。

例えば、親は自分の子どもを愛しているから守ります。面倒なことがあっても、どれだけ忙しくても、守ろうと努力します。これって、簡単にいえば「好きだから守る」わけです。

地球を守ることもこれと同じで、地球に関心があり、地球のことを好きな人だけが、本気で地球を守ろうとするのです。

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地球に関心を持つと言っても、みんながみんな、科学者や環境保護団体のメンバーになる必要はありません。それぞれが活躍する現場で、地球を好きな人が一生懸命に仕事をしていれば、やがて社会全体の意思決定が地球を守る方向に向かっていくと思います。

ビジネスマン、公務員、政治家、学校の先生、お店のオーナー、従業員など、どんな立場の人であっても、意思決定の機会はたくさんあります。その一つ一つが、「地球を好きな人」の意思決定になることで、社会に大きなムーブメントが起こります。SDGsの達成は、その結果としてくっついてくるものだと思っています。

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(写真・文/渡邉克晃)

※この記事は、『佼成』2023年11月号に掲載されました。