ハワイのハレマウマウ溶岩湖(キラウエア火山)
©️272447 / Pixabay

夕闇を赤々と照らすハレマウマウ火口の溶岩湖

夕闇に包まれるハワイ島。

島の南東部に位置するキラウエア火山では、火口にできた溶岩湖が赤々と燃えています。

 

この火口はキラウエア火山の山頂付近(キラウエア・カルデラの内側)にある主要な火口で、名前はハレマウマウ火口。

火口の全体像は次の写真のようになっています。

ハレマウマウ火口の全体像
ハレマウマウ火口の全体像(©︎Tim Orr / Wikipedia

 

火口の中にもう一つ、小さな火口が見えますね。

大きな方の火口がハレマウマウ火口で、直径は約1キロメートル。

そして、ハレマウマウ火口の端にできている小さな火口は「展望台火口」と呼ばれ、長さ250メートルほどの楕円形をしています。

キラウエア・カルデラの北西の縁にあるハワイ火山観測所の展望台からよく見えるため、このような名前が付けられたそうです。

 

冒頭の写真で赤々と燃えていたのは、この「展望台火口」の方。

中は溶岩が溜まった溶岩湖になっていて、2015年にはこの溶岩湖が溢れてハレマウマウ火口の底に約9メートルもの溶岩を積もらせるなど、つい最近まで活発な火山活動が見られました。

溶岩湖の湖面の高さは火山活動の状況によって上がったり下がったりし、上の写真が撮影された2016年時点では、深さ15メートルほどでした。

 

なお、キラウエア火山の最高地点はハレマウマウ火口の縁の部分で、標高1247メートル。

そして、ハレマウマウ火口を大きく取り囲むようにキラウエア・カルデラと呼ばれる巨大な陥没地形も形成されていて、その大きさは長さ5キロメートル、幅3キロメートルほどに達します。

 

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火山活動の変化と溶岩湖の消失

キラウエア火山は、ハワイ島で最も火山活動の活発な火山。

「キラウエア」という名前も、ハワイ語で「噴き出す」「多くまき散らす」という意味だそうです。

お隣のマウナ・ロア火山と共に、ハワイ火山国立公園に指定されています。

 

そんな活発なキラウエア火山において、頂上付近にある主要な火口がハレマウマウ火口なのですが、その他にも複数の火口が列をなしていて、キラウエア火山の火山活動は刻々と変化を続けているのです。

例えば、近年の大きな変化としては、2018年のハレマウマウ火口の爆発および陥没が挙げられます。

 

2018年に発生した爆発に伴ってハレマウマウ火口は大きく陥没し、その結果、溶岩湖を形成していた展望台火口は消失してしまいました。

冒頭の写真も2枚目の写真も、撮影されたのは2016年のことで、2018年以降、火口の形は大きく変化しています。

 

その後、火山活動の中心は別の火口に移って行き、山腹にできた「地溝帯」と呼ばれる裂け目状の火口で活発な火山活動が続いています。

キラウエア火山の地溝帯は、山頂から東に約125キロメートル、西に約35キロメートルも伸びており、これらの地溝帯に沿って、いくつもの火口が並んでいるという状況です。

ハワイ島に6つ目の火山が出現

キラウエア火山のあるハワイ島は、ハワイ諸島最大の島で、5つの火山で構成されています。

活動時期の順に並べると、コハラ火山、マウナ・ケア火山(標高4205メートル)、フアラーライ火山、マウナ・ロア火山(標高4169メートル)、キラウエア火山の5つ。

ハワイ島の面積は四国の半分ほどの大きさですが、その中に4000メートル級の火山が2つもあるのですね。

これらのうちマウナ・ロアとキラウエアは、現在も火山活動が見られる活火山です。

 

よく知られているように、ハワイ諸島は地球内部の深い場所からマグマが上がってくる「ホットスポット」の上にできた火山で、噴き出す溶岩が海底から高く積み上がることで、島々が海面に姿を現しました。

そして、ホットスポットの位置は変わらずに、その上に乗っている海洋プレート(海洋底を作っている岩盤)だけが移動していくため、ハワイ諸島は横方向に長く連なる形状になって行ったというわけです。

 

そのような中で、現在ホットスポットの直上にあって成長し続けている島が、ハワイ諸島の南東の端に位置するハワイ島です。

特に、キラウエア火山の辺りが火山活動の中心。

実際にキラウエア火山から流れ出る溶岩流がハワイ島の海岸を埋めることで、島の面積は今でも少しずつ拡大しているのです。

 

ところで、先ほどの5つの火山の中ではキラウエア火山が最も新しいのですが、ハワイ諸島の中で最も新しい火山は、実はキラウエア火山ではありません。

なんと、ハワイ島の南東35キロメートルほどの海底に、6番目の火山が隠れているのです。

 

その火山の名前は、ロイヒ海山。

まだ海底にあるので「海山」と呼ばれています。

山頂は海面下975メートルに達していて、深海底からの高さは3000メートル以上。

海面下とは言え、すでに立派な火山に成長していることがわかります。

 

ここまで成長するのに少なくとも40万年以上は要すると見積もられていますので、「ハワイ諸島の中で最も新しい火山」と言っても、その活動が始まったのは随分と昔です。

いずれはロイヒ海山も海面から姿を現し、ハワイ島とくっつくようになると考えられていますが、その時期は1万年から10万年先とのこと。

人間の時間感覚からすると、火山の成長に要する時間は途方もなく大きなスケールですね。

参考文献

場所の情報

もっと知りたい人のためのオススメ本

渡邉克晃『美しすぎる地学事典』(秀和システム,2020)


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