TERUKO『まるで魔法のような本当の話』(くもん出版,2021)
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美しい装丁とイラスト、写真で紹介するとっておきの自然界の不思議30話。
アルフォンス・ミュシャを思わせる独特のイラストがとても印象的で、ページを開くとファンタジーの世界にいざなわれます。
ですが、もちろんただのファンタジーではなく、自然界の不思議を紹介するちゃんとした科学の本。
本書には物語屋の青年とお姫様が登場し、眠れないお姫様に「魔法のような本当の物語」を聞かせるというストーリーになっています。
物語のテーマは植物、生物、風景、科学と多岐に渡り、例えば「妖精たちの洞窟」「海賊が見つけた海の大穴」「天使の泉」など、想像力をかき立てる話が盛り沢山。
物語屋の魔法のような話に科学的な種明かしをしていくというスタイルになっているので、科学の話も頭にスッと入ってきます。
これほど見事にファンタジーと科学を融合させた本は他に見当たらず、とても新鮮でした。
著者のTERUKOさんは、絵画と彫刻で多数の受賞歴がある美術作家でありながら、絵本の制作でも注目されている気鋭のアーティストです。
絵本『さかさま』は造本装幀コンクールにて日本印刷産業連合会会長賞を受賞し、日本代表として「世界で最も美しい本コンクール」にも出品されました。
本書でも美しい装丁は際立っていて、「モノを持つ喜び」を感じさせてくれる一冊です。