千葉県銚子市の犬吠埼では、犬吠埼灯台の下周辺におもに砂岩からなる1億2000万年前の地層が見られます。この時代は地質時代の白亜紀にあたり、浅い海に堆積した地層であることから、「白亜紀浅海堆積物」と呼ばれています。
実際に観察してみると、砂岩の色は少し青味がかった灰白色で、層理(地層の重なり)がはっきりしています。葉理のように薄く積層している部分も見られました。
また、蜂の巣状に多数の穴が空いた「タフォニ」と呼ばれる地質構造も、あちこちで観察されます。海水に含まれる塩分が岩盤の中で結晶化することで、その部分で微細な破壊が起こり、徐々に削られていったものだと言われています(塩類風化と言います)。
砂岩中で小さな琥珀も見つけました。直径5mmほどの楕円形でしたが、取り出そうと石を砕いた時に、残念ながら壊れてしまいました。琥珀が入っていた砂岩はとても脆く、手で岩石どうしをぶつけただけで簡単に割れてしまいます。
そのほか、砂岩中に黒い炭化物が多数混じっている部分がありました。概ね直径1〜2mmほどの粒状でしたが、濃集している部分も。
犬吠埼の白亜紀浅海堆積物は、2002年に国の天然記念物に指定されています。