ウルル(エアーズロック)
©︎Tchami / flickr

 

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世界で2番目に大きい一枚岩

草原の夕陽に照らされて赤く染まる巨大な岩山は、オーストラリア中央部に位置する砂岩の大岩、ウルル。

以前は「エアーズロック」と呼ばれ、こちらの方が馴染みのある名前かもしれませんが、先住民アボリジニの言葉ではウルルと呼ばれています。

エアーズロックという名前は1873年にイギリスの探検家ウィリアム・ゴスが命名したものだそうで、1980年代あたりまでは教科書でもよく使われていました。

 

さて、ウルルのすごいところは、周囲9.4キロメートルもあるこの大岩が、一つの石でできていることです。

地面からの高さは、東京タワーよりも少し高い335メートル(標高868メートル)。

この大きさは、一枚岩としては「世界で2番目」になります。

 

では一番はどこかと言うと、同じくオーストラリアにあるマウントオーガスタス(西オーストラリア州)です。

底面積の大きさで比較するとウルルの2.5倍もの大きさがあり、文句なしの世界一。

アボリジニの言葉では、マウントオーガスタは「バリングラ」と呼ばれています。

侵食の跡が刻まれた赤い砂岩

ウルルの大岩は、砂つぶが固まってできた砂岩の地層でできています。

鉄分を多く含んでおり、酸化した鉄分(鉄さび)によって赤みがかった色をしているのが特徴。

ウルルの赤色は太陽の当たり方でも色合いを変え、朝と夕方には特に鮮やかな赤色に染まります。

 

それから、岩山の表面に刻まれた筋のような模様も、ウルルの特徴です。

こちらの写真は上空1万2000メートルから撮影したウルルの姿ですが、傾いた西日に照らされて、岩山表面に筋状の影がはっきりと見えていますね。

上空から見たウルル(エアーズロック)
上空から見たウルル(©︎Tony Hisgett / flickr

 

この模様は地層の重なりを示していて、ウルルの表面が侵食によって削られることで、地層の中の微妙な硬さの違い(侵食への抵抗力の違い)が模様として現れたものです。

ですので、筋の方向は地層の重なりと水平になっています。

 

また、ウルルのあちこちには巨大な窪みや穴も見られ、これらは風による侵食(風食と言います)によって形成されたと考えられています。

大山脈から草原の大岩が形成されるまで

ウルルの形成は7000万年ほど前と見積もられていますが、ウルルを構成する砂岩の形成はもっと古く、数億年前から始まりました。

 

約6億年前、オーストラリア中央部には8000メートル級の大山脈がそびえていたと考えられています。

8000メートル級と言えば、ヒマラヤ山脈並みですね。

その山脈を流れ下る渓谷は山からふもとへと大量の砂を運び、渓谷が平野に達する場所には扇型の砂の集積地(扇状地(せんじょうち)と言います)が作られました。

 

河川による侵食は続き、5億年前ごろになると、かつての8000メートル級の山々は完全に消滅し、初期に集積した扇状地の砂の上にさらに大量の土砂が集積していきました。

厚く集積した土砂の重みは、下の方の砂の地層を圧縮し、硬い砂岩を形成したと考えられます。

 

時代はさらに進み、およそ4億年前ごろ、こんどは地殻変動によってオーストラリア大陸の岩盤が折れ曲がり、ウルルの辺りでは地層が下向きに凸となるV字形に変形しました。

山脈の侵食が進んで平原になっていたオーストラリア中央部は、この変動によって再び起伏の大きい土地になりましたが、やがてその起伏も侵食によって削られていきます。

 

そのように周囲の地層が侵食されていく中、比較的硬く侵食に強い砂岩の地層がありました。

もちろん硬いからと言って侵食の影響を全く受けないわけではないのですが、他と比べればその砂岩の地層だけは削れるスピードが遅くて、小山のように地表に残ったのです。

 

これがウルルの起源。

以上のようなプロセスを経て、約7000万年前に現在のようなウルルの形になったと考えられています。

地表に現れているのは全体の5パーセントに過ぎない

ウルルの形成プロセスの中で、「地殻変動によって地層がV字形に折れ曲がった」と言うお話をしました。

ちょっと想像してほしいのですが、硬い砂岩の地層がV地形に折れ曲がり、その上部の一つが、ポコッと山のように地表に突き出しているわけです。

そのような部分がウルルですね。

 

このV字形、かなりの急角度であることが、ウルルの筋状の模様からもわかります。

ウルルの写真をよく見てみると、表面の筋状の模様が地表に対してほぼ垂直になっていますね。

この模様は地層の積み重なりを反映したものですから、地層の向きが現在の地表面とほぼ垂直になっていると言うことです。

 

かつて水平だった地層がほぼ垂直になっていると言うことで、かなりの急角度で折り曲げられたことがわかります。

このことは、ウルルの「根っこ」とも言える砂岩の地層が、地下深くに埋まっていると言う意味でもあります。

実際のところ、地表に顔を出している部分(ウルル)は、全体の5パーセントほど。

ウルルの砂岩の本体は、言わば地下にあるのです。

 

また、V字形に折れ曲がったのであれば、2つあるV字の頭のもう一方は、どうなったのでしょうか。

ウルルと対になる形で大岩が存在していてもいいはずですよね。

 

これもまた実際にその通りで、ウルルから西に20キロメートルほど離れた場所に、オルガ山(アボリジニの言葉でカタ・ジュタ)と呼ばれる、小ぶりの岩山がいくつか顔を出している場所があるのです。

カタ・ジュタ(オルガ山)は、ウルルと同じ砂岩の地層でできた岩山。

V字形に折れ曲がった地層の反対側が、部分的にこの場所に現れているわけです。

 

ウルルとカタ・ジュタを含む一帯は「ウルル=カタ・ジュタ国立公園」として、1987年に世界遺産に登録されています。

場所の情報

もっと知りたい人のためのオススメ本

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