温かな日差しで私たちを照らしてくれる太陽。
太陽のおかげで昼があり、草木も動物ものびのびと成長することができますね。
また太陽光発電がずいぶんと身近なものとなり、太陽の光は再生可能エネルギーの主役としても期待されています。
そんな太陽の光がある日突然なくなってしまったら、地球はどうなってしまうのでしょうか。
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① 日焼けの心配がなくなる
まず1番目は、「日焼けの心配がなくなる」です。
太陽の光がなくなるということは、ずっと夜です。
暗い。
そして、紫外線も浴びなくて済むようになります。
日焼けの原因は紫外線ですね。
明るい光そのものではなくて、太陽光の中に含まれている目に見えない紫外線が、日焼けを引き起こしているのです。
紫外線を浴びなければ、肌は白いまま。
みんなが美白になっていいかもしれませんね。
また、日焼けしなくなることで、皮膚がんの心配が減るというメリットもあります。
あと目にも優しい。
白内障などの目の病気の心配もなくなります。
ただ、美白を通り越して青白くなってしまったら不健康に見えるので、そんな時は適度に日焼けサロンを利用してみましょう。
皮膚がんや目の病気を心配することなく、安全に、好きなだけ日焼けできるはずです。
ところで、あなたがもし「夜型人間」でしたら、太陽の光がなくなるともっと嬉しいかもしれませんね。
「夜の方が勉強に集中できる」とか、「一晩中ゲームをやっていたい」とか、誰でもそういう時期があると思います。
太陽の光がなくなれば、ずっと夜。
夜型人間でしたら、ワクワクしてきますよね。
「太陽の光なんていらないよ」と思ったあなた。
でもちょっと待ってください。
やっぱり太陽の光がなくなると、いろんな困ったことになるのです。
② 夜空から月と惑星が消える
もしもある日突然、太陽の光がなくなったら。
2番目は、「夜空から月と惑星が消える」です。
月は太陽の光を反射するから夜空で光るわけですね。
月そのものは光を発していないわけです。
ですから、もし太陽の光がなかったら、月は光ることができません。
これは惑星も同じで、惑星も太陽の光を反射することで光っています。
水星、金星、火星、木星、土星。
太陽の周りをまわっているこれらの惑星も、月と同じく、太陽の光がなくなったら夜空から消えてしまうわけです。
例えば、地球のすぐ内側の軌道をまわっている金星。
月と比べればはるかに小さいですが、星の中では金星はとても明るく目立つ星なので、誰でも見たことがあると思います。
「宵の明星(よいのみょうじょう)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「宵」とは日が暮れて間もない頃の時間帯のことですが、この時間帯に西の空に明るく光る星があるのです。
いわゆる「一番星」ですね。
これが、「宵の明星」と呼ばれる金星です。
金星は明け方の東の空にも見られますので、そちらは「明けの明星(あけのみょうじょう)と呼ばれています。
と言うわけで、太陽の光がなくなったら金星が夜空から消えてしまい、「一番星」が見られなくなくなる。
一方、夜空に見える月と惑星以外の星は、太陽と同じように自ら光を発して輝いている「恒星」です。
「恒(つね)に」同じ場所にある星、位置が変わらない星という意味で「恒星」と呼ばれるわけですが、恒星はものすごく遠くにある太陽みたいな星なのです。
言い換えれば、太陽の光がなくなっても、夜空からすべての星が消えるわけではありません。
消えるのは太陽の光を反射している月と惑星だけで、それ以外の恒星はちゃんと光り続けます。
ちょっと安心ですね。
③ 体内時計がくるって朝起きられなくなる
もしもある日突然、太陽の光がなくなったら。
3番目は、「体内時計がくるって朝起きられなくなる」です。
太陽の光というのは、人間にとって、また生物にとって、体内時計をうまく調節する役割を果たしてくれています。
人間やその他の動物の体には、体内時計(あるいは生物時計)と呼ばれる時計の仕組みが備わっているのですが、その時計は大体24時間で一周するようにできています。
人間の場合、朝起きて、夜寝て、という毎日のリズムが24時間で一周していますよね。
私たちの生活リズムがこうなっているのは、地球の自転によって昼と夜が24時間ごとに繰り返されるからですが、人間の体内時計のリズムもほぼこれと一致しているのです。
言い換えれば、地球の自転とは関係なしに、人間には24時間の生活リズムを勝手に作ってしまう性質があるということ。
人間に内蔵されたこのような24時間のリズムのことを、「サーカディアンリズム(概日リズム)」と言ったりもします。
さて、サーカディアンリズムはほぼ24時間で一周するのですが、「ほぼ24時間」というところがポイント。
実は個人差があり、人によって一周の長さが微妙に異なるのです。
多くの人は24時間より少し長いものの、反対に少し短い人もいる。
このように個人差があると、地球の自転によってビシッと決まっている「1日24時間」というリズムとサーカディアンリズムとの間に、ズレが出てきてしまいます。
ということは、最初は少しのズレであっても、だんだんと地球の自転とは大きくズレた生活リズムになっていきそうですよね。
地球は朝なのに、自分の体はまだ夜モード、みたいに。
ですが、ありがたいことにそうはなりません。
体内時計にはリセットする機能がついていて、朝ごとに一度リセットされて新たな一日(新たな24時間)をスタートさせることができるようになっているのです。
そして、リセット機能に欠かせないのが太陽の光。
私たちの体は、朝目覚めて太陽の光を浴びることによって、一度体内時計がリセットされる仕組みになっています。
リセットして1日をスタートしたら、それぞれのサーカディアンリズムに従って「ほぼ24時間」を過ごす。
でも、1日が終わる頃には地球の自転と少しだけズレているから、翌日また朝日を浴びて再スタート。
こんな風にして、地球の自転とサーカディアンリズムが一致するように調節しているのです。
もし太陽の光がなくなったらサーカディアンリズムのリセットができなくなるので、体内時計が乱れてしまいます。
その結果、朝起きられなくなったり、夜眠れなくなったりするというわけです。
④ ビタミンDが合成できずに栄養不足になる
もしもある日突然、太陽の光がなくなったら。
4番目は、「ビタミンDが合成できずに栄養不足になる」です。
栄養に関する話ですね。
太陽の光は人間が必要とする栄養素にも関わっていまして、その栄養素とは、ビタミンDのこと。
ビタミンDにはカルシウムとリンの吸収を助ける働きがあるので、丈夫な骨を作るためになくてはならない存在なのです。
不足すれば骨がスカスカになる「骨粗しょう症」の原因にもなりますので、しっかりと確保したい栄養素。
実は驚くことに、人間の体はこのビタミンDを体内で作り出すことができるのです。
太陽の光に含まれる紫外線を浴びることによって、皮膚の中でビタミンDが作られる仕組み。
人間の体は本当によくできていますね。
そのようなわけで、普通に生活していればビタミンDの不足を心配する必要はあまりありません。
日頃からしっかりと太陽の光を浴びることで、私たちの体は十分な量のビタミンDを作り出すことができ、その結果、骨も丈夫に育つというわけです。
なお、食品からも摂ることはできますが、ビタミンDを多く含む食品はサーモンや干し椎茸など限られていますのでなかなか大変。
しかも、体内で作る方が食品から摂るよりもずっと効率よく、大量に得られます。
ですので、もし太陽の光がなくなってビタミンDを体内で作り出せなくなったら、その時は間違いなくビタミンD不足になってしまいます。
食品で補うことはとてもできないので、サプリメントなどを利用するしかなさそうです。
⑤ 紫外線の殺菌効果がなくなり、病気がはやる
もしもある日突然、太陽の光がなくなったら。
5番目は、「紫外線の殺菌効果がなくなり、病気がはやる」です。
太陽の光に含まれる紫外線には、殺菌効果もあります。
紫外線による殺菌効果は意外と身近なところで利用されていて、例えば布団干しがその一つ。
毎日使うお布団ですが、天気の良い日には外に出して干しますよね。
太陽の光に当てて干すと、布団がふかふかして温かくなるだけでなく、布団の中に潜んでいるダニとかカビのような雑菌を紫外線がやっつけてくれるのです。
これによって多くの健康上のトラブルが予防できますので、定期的に布団を干すことはけっこう大事。
洗濯物についても同じことが言えます。
今は乾燥機があるので外に干さない家もあるかもしれませんが、生乾きの洗濯物を部屋の中に干すと、なんだか臭いますよね。
ちょっとカビ臭いような、嫌な臭い。
生乾きの洗濯物には雑菌が繁殖しやすいので、こうなるのは仕方ありません。
そこで、洗濯物はやっぱり外に干すのがオススメ。
風通しが良くて速く乾くほか、紫外線が雑菌をやっつけてくれるからです。
これで毎日の洗濯物も気持ちよく、健康に着ることができます。
このように見てみると、太陽の光は私たちが手軽に使える自然の殺菌ツールであることが良くわかります。
天気のいい日に空から降り注ぐ、消毒スプレーみたいなものですね。
ですから、もし太陽の光がなくなると紫外線による殺菌効果がなくなってしまい、健康上のトラブルが増えてしまうことでしょう。
⑥ 植物が光合成できなくなり、酸素がなくなる
もしもある日突然、太陽の光がなくなったら。
6番目は、「植物が光合成できなくなり、酸素がなくなる」です。
これはわかりやすいですね。
太陽の光で植物は光合成をしていますので、光合成ができなくなってしまうわけです。
そして、光合成ができなくなれば、酸素も作られなくなります。
植物の光合成というのは、水と二酸化炭素からデンプンと酸素を作る化学反応です。
この化学反応は太陽の光エネルギーがないと起こりません。
つまり、太陽の光がなくなると、植物はデンプンと酸素を作り出せなくなるということです。
酸素は私たち生物が呼吸をするために必要ですよね。
呼吸ができなければ生きていけませんので、酸素がなくなるというのは大変なピンチです。
また、光合成のもう一つの生産物であるデンプンも、なくてはならないもの。
デンプン(炭水化物とも言います)は、植物の体を作る材料です。
光合成ができなくなった植物は、デンプン、つまり自分の体の材料を作れなくなるので、成長することができず、やがて死んでしまいます。
植物が死ぬということは、私たちは食べ物を失うということです。
私たちの食べ物は植物そのものであったり、植物を食べる動物であったりするので、どちらもなくなってしまいます。
魚だって、光合成をする海の植物プランクトンがいなくなれば生きていけないので、同じことです。
こうして、酸素だけでなく食べ物まで、私たちは失ってしまう。
これはつまり、呼吸すること、食べること、そのどちらもできなくなるということです。
生きていく上で絶対に必要な2つのことが、できなくなる。
まさに危機的状況です。
光合成ができなくなるという点に関しては、二酸化炭素がなくなった場合も同様ですが、太陽の光がなくなる方がより一層深刻だと言えます。
なぜなら、二酸化炭素はまた作り出せば何とかなるのですが、太陽の光は「作り出す」ということができないからです。
電灯など人工の明かりでも光合成はできますが、量や効率の面で太陽には遠く及びません。
しかも、人工の明かりをつけるには電力が必要なわけで、そのエネルギーを確保するのが大変です。
太陽の光のようにタダでふんだんに得られるわけではないのです。
⑦ 地球全体が氷におおわれる
もしもある日突然、太陽の光がなくなったら。
7番目は、「地球全体が氷におおわれる」です。
地球が凍る。
窓際で太陽の暖かさを感じてもらうと分かる通り、太陽の光がなかったら世界はもう寒すぎます。
とにかく寒い。
1日の気温は昼間に高くなって夜に下がるわけです。
ずっと夜が続くということは、気温は下がりっぱなし。
一体どれくらい寒くなるかというと、地球全体が凍るぐらい寒くなってしまいます。
地球の平均気温がおよそ摂氏15度あたりで安定しているのは、太陽から地球に入ってくる光のエネルギーと、地球から出ていく熱のエネルギーがちょうど同じくらいだからです。
バランスが取れているわけですね。
ですので、太陽から入ってくる光のエネルギーがなくなってしまえば、このバランスは崩れて地球の気温は大きく下がってしまう。
地球46億年の歴史の中で、かつて「スノーボールアース」という地球全体が凍ってしまう劇的な事件がありました。
しかも3回も。
おおよそ22億年前、7億年前、6億年前にこのような事件があったと言われていますが、もちろん原因は「太陽の光がなくなったから」ではありません。
ちゃんと今でも太陽の光はありますからね。
では何が原因かというと、南極や北極で氷河が大きくなったからだと考えられています。
氷河は太陽の光を反射してしまうので、太陽から地球に入ってくる光のエネルギーが減ってしまい、バランスが崩れて急に地球が寒くなってしまったのです。
そしてその結果、地球全体が凍ってしまった。
氷河が大きくなっただけで地球全体が凍ってしまうなんて、ちょっと信じられないかもしれません。
でもそれくらい、太陽の光と地球の気温は絶妙なバランスを取っているのです。
そういう訳ですから、もし太陽の光がなくなったら、地球全体が氷におおわれることはまず避けられません。
ここまでのまとめ
「もしもある日突然、太陽の光がなくなったら」ということで、ここまで7つの項目について見てきました。
ざっと見直してみますと、次の通り。
- 日焼けの心配がなくなる
- 夜空から月と惑星が消える
- 体内時計がくるって朝起きられなくなる
- ビタミンDが合成できずに栄養不足になる
- 紫外線の殺菌効果がなくなり、病気がはやる
- 植物が光合成できなくなり、酸素がなくなる
- 地球全体が氷におおわれる
その結果、こんな暮らしになるかも
ここまで見てきたように、太陽の光がなくなったらかなり大変なことになりますね。
地球全体が凍ってしまうというとこで、果たしてこんな状況で人間は生きていけるのでしょうか。
最後の章では、太陽の光がなくなっても人類が生き延びていたとしたら、私たちの暮らしはどんなものになるのか、その辺りを予想してみたいと思います。
地下へ移住(凍ること前提)
太陽の光がなくなったら、地球全体が凍ってしまうことは避けられないでしょう。
ですから、氷の下、できれば地下にシェルターを作って、その中で生活することになります。
この地下施設は広大なものでなければなりません。
なぜなら、人間はもちろんのこと、動物や植物もみんな移住しなければならないからです。
寒さをしのぐだけでなく、地下施設の中で植物を育て、酸素を作りだし、あらゆる動物が生きられる環境を作らなければならないのです。
電灯で光合成とリズム
地下施設で植物を育てる方法としては、電灯で光合成をすることになります。
太陽の光よりは効率が落ちますが、人工の光でも光合成は可能。
ですので、まずは地下に移住させた植物を電灯の光で育てます。
酸素も食料も、植物が生きのびられるかどうかにかかっていますので、できるだけたくさん植物を植えて、しっかりと育てましょう。
ついでに、それらの電灯で人工的に昼と夜のリズムを作り出せば、人間や動物の体内時計もくるわずにすみます。
自転による24時間のリズムはなくなっても、体内時計は相変わらず「ほぼ24時間」ですので、地下生活になっても1日24時間のリズムでやっていく方が良いでしょう。
紫外線入りの電灯
また、電灯の光には紫外線も混ぜた方がいいでしょう。
目に見える光と目に見えない紫外線は、同じ「電磁波」と呼ばれるもので、言わば親戚みたいなもの。
光を出す電灯と同じように紫外線を出す電灯もあるわけです。
人工の光に紫外線を混ぜれば、人間は体内でビタミンDを合成できるようになりますし、布団や洗濯物への適度な殺菌効果も得ることができます。
地熱をフル活用
さて、地下施設での生活の鍵は、電灯によって植物が光合成できるようにすることです。
太陽の代わりに電灯に頼るわけですから、ものすごい電力が要りそうですよね。
そのエネルギーはどこから確保すればいいのでしょうか。
そこで、人類は地熱エネルギーをフル活用することになると思います。
火山地帯の地下にはマグマがあり、そういう場所ではマグマの熱で温められた高温の水蒸気が、地下から噴き出してきます。
この高温の水蒸気を使って発電する「地熱発電」という方法があって、これによって電力を得ることができるのです。
また、発電に利用した水蒸気は液体になっても温度が高いので、暖房にも使えます。
地上は氷におおわれた世界ですから、これはありがたいですね。
温泉だって利用できるでしょう。
そのほか、火山地帯でなくても地球の内部は深く掘れば掘るほど温度が高くなるので、その熱を利用して寒さをしのぐことができます。
太陽の暖かさがなくなった世界では、地球そのものの熱に頼るしかなくなるというわけですね。
以上、今回は「もしもある日突然、太陽の光がなくなったら」について考えてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット | 体内時計(たいないどけい)
- オーソモレキュラー栄養医学研究所 | ビタミンD
- ウチコミ!タイムズ | やはりすごかった!日光消毒の殺菌力を探る
- コープのふとんサービス | こんなにふとんは汚れています。
もっと知りたい人のためのオススメ本
『もしも、地球からアレがなくなったら?』渡邉克晃・室木おすし(文友舎,2021)