(画像提供:Free-PhotosによるPixabayからの画像)

 

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宇宙で太陽の光に直接当たると、強烈な紫外線で大やけどをするんです。

ものすごい日焼け。

 

太陽の光って実は怖い。

「こんなに暖かくて気持ちがいいのに」と、意外に思うかもしれませんね。

太陽の光には、紫外線(しがいせん)と呼ばれる種類の目には見えない光が大量に入っていて、その紫外線がひどい日焼けや皮膚がんなどを引き起こすのです。

 

日焼けや皮膚がんの原因になる恐ろしい太陽光。

でも私たちは普段、平気で太陽に当たっていますよね。

なんで平気なんでしょうか。

そんなに怖いものなら、私たちも当たらない方が良さそうですが・・・。

 

実はですね。

超危険な太陽の光を「恵みの太陽」に変えてくれる奇跡のバリアが、この地球をすっぽりとおおっているんです。

そのバリアの名前は、「オゾン層」。

 

「オゾン」って言うのは、ガスの名前です。

酸素とか水素とか、世の中にはいろんなガスがありますよね。

オゾンもその中の一つ。

あ、ガスって「臭いもの」と言う意味じゃなくて、「固体」「液体」「気体」の中の「気体」のことです。

 

そして、このオゾンは空の上に結構たくさんあって、高さ25kmくらいのところに特に多く集まっているんです。

オゾンが集まった場所を「オゾン層」と言い、地球はこのオゾン層にすっぽりとおおわれています。

このオゾン層がバリアになって、怖い太陽の光から私たちを守ってくれているわけですね。

 

オゾンには、紫外線を吸収してしまう特別な性質があります。

なので、太陽から出ている紫外線は、オゾン層のバリアまで来るとほとんどがさえぎられてしまって、通り抜けられない。

通り抜けられるのは、弱い紫外線とか、普通の光(温かくて明るいあの光です)とか、赤外線と言うまた別の光とか。

そうそう、紫外線にも強い紫外線と弱い紫外線があって、弱い紫外線だとひどい日焼けや皮膚がんにはならないんです。

 

このように、オゾン層のおかげで強い紫外線が地球に入って来ないから、私たちは快適にすごせているんですね。

本当は怖い太陽の光を、こんなにも優しく温かい光にしてくれていたんです。

 

夏の明るい日差しも、冬のひなたぼっこも、私たちを元気にしてくれる恵みの光。

太陽が私たちに優しいのは当たり前のことじゃなくて、地球が持っている奇跡のひとつだったんですね。

コラム①:オゾン層を破壊するフロンガス

こんなにもありがたいオゾン層なんですが、私たち人間の活動が原因で、弱くなったり破壊されたりしているんです。

 

「オゾンホール」という言葉、ご存知ですか。

毎年9月〜10月ごろになると、南極の方でオゾン層が特に薄くなり、まるで穴(ホール)が開いたようになるのです。

この穴をオゾンホールと呼んでいます。

 

その大きさはなんと、ひどい時には北アメリカ大陸よりも大きい。

こんなバカでかい穴ができてしまうんです。

 

南極にはあまり人がいないから関係なさそうに思うかもしれませんが、そんなことはありません。

オゾンホールの影響はオーストラリアやニュージーランドなど、南極に近い場所で無視できないほど深刻になっています。

ひどい日焼け、皮膚がん、あと、目の病気も多い。

 

このままオゾン層がなくなったら、私たちも怖い太陽の光を浴びることになるのでしょうか。

なんとか食い止めなければ・・・。

 

そこで、世界の国々が協力して、今まさにオゾン層を守る活動をしています。

具体的には、オゾン層を破壊する最大の原因だった「フロンガス」というガスを、できるだけ使わないように決めました。

決めたのは1987年のことです。

その頃から現在まで、それぞれの国がこの約束を守るために様々な努力を続けています。

 

フロンガスは冷蔵庫やエアコンにたくさん使われていたから、使わないようにするのは結構大変なんです。

でも先ほどの約束のおかげでフロンガスの使用量は減り続け、2020年現在、多くの研究者が「オゾン層は回復しつつある」と言うほどになりました。

 

オゾン層の破壊は、人間が引き起こした環境問題。

その問題を、世界の国々が協力して乗り越えようとしているんです。

そして、実際に成功しつつある。

 

だから、こう言いたいのです。

「環境問題は、絶対にあきらめちゃいけない。」

地球をちゃんと管理していく責任が、私たちにはあるんです。

コラム②:実は猛毒のオゾン

ひどい日焼けや皮膚がんから私たちを守ってくれているオゾン。

なんとなく、オゾンっていいイメージですよね。

なんだか体に良さそうな。

 

ところがそれは大まちがい。

オゾンは猛毒で、そのまま吸ったら大変なことになるんです。

 

夏の日ざしの強い日、都会では「光化学スモッグ」が発生しますよね。

目がチカチカしたり喉(のど)がイガイガしたりするんですが、これ、実は光化学スモッグの中に含まれているオゾンが原因なんです。

 

光化学スモッグに含まれているオゾンの量はほんの少し。

もしも濃いオゾンを吸えば、死んでしまう危険さえあります。

オゾンって、それくらい人間にとって猛毒なんです。

 

なんだか不思議ですよね。

私たちを怖い紫外線から守ってくれている「いいヤツ」が、実は体に悪い危険なガスだなんて。

こんな猛毒ガスが、空の上では紫外線を防ぐ私たちの救世主になってくれているのですから、地球には本当に驚かされます。

役立つ豆知識

  • 「オゾン」と言う名前は、ギリシャ語の「臭い」から名付けられたそうです。
  • オゾンは酸素原子3つでできた物質(O3)です。酸素原子1つ(O)が酸素分子(O2)とくっついてオゾンになります。
  • フロンガスは上空で塩素を発生し、その塩素がオゾン層を破壊する原因になっています。

参考文献

もっと知りたい人のためのオススメ本

花岡庸一郎『太陽は地球と人類にどう影響を与えているか』(光文社新書,2019)


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